2021.06.09

中嶋イッキュウ展示会「中嶋一九博物館」

中嶋イッキュウ(アーティスト)

tricotやジェニーハイのメンバーとして音楽活動をしながら、ファッションへも並々ならぬ愛情を注いでいるSUSU by Ikkyu Nakajimaプロデューサーの中嶋イッキュウ。バンドグッズを自身で手掛けていたことがきっかけとなり始めたアパレルだったが、現在では音楽ファン以外にも認知されるブランドと育ちつつある。そんなSUSU by Ikkyu Nakajimaが5周年記念展示会として、5月29日に「中嶋一九博物館」を開催した。以下では、中嶋イッキュウの想いがギュッと濃縮された貴重な同個展の模様をお伝えしたい。

中嶋イッキュウ展示会「中嶋一九博物館」
■日時:2021年5月29日(土)
■場所:SHIBUYA Gallery CREAM   https://gallery-cream.tokyo/

そもそも中嶋イッキュウとLUCKANDは、かねてより親交があった。tricotのバンドグッズ制作にLUCNADの運営会社であるLUCK‘A Inc.が関わっていることもあり、SUSU by Ikkyu Nakajimaもスタートから一パートナーシップを組んでいるためとても近い存在なのだ。
LUCKANDマガジン(フリーペーパー)の創刊号にはブランドを始めようとする中嶋イッキュウを取り上げていたり、LUCKANDギャラリーでは「写真展」を行ったり、現在のコレクションにおいても共に作品を手掛けてきた歴史もある。中嶋イッキュウとLUCK’Aは、切磋琢磨と試行錯誤を繰り返しながら、この5年間を歩んできた。


渋谷駅からも表参道駅からも、徒歩10分。喧騒から逃れた奥の道に、会場となるGalleryCREAMは佇んでいた。ステンシルで作られたお手製の看板が、大きな声ではないがハッキリと手招きをする。白い階段を一歩一歩くだっていくと、透明な壁の奥に凄まじいエネルギーが渦巻いていた。


一呼吸おいてドアを開けると、イッキュウの愛犬 ウィケットが足元に駆け寄ってきた。「よく来たな!」と言わんばかりに声をあげながら、尻尾を威勢よく振り回す。盛大な歓迎に敬意を示し目線を上にあげると、龍の掛け軸が飛びこんできた。


迫力満点の上り龍は、イッキュウ自身が描いたもの。ブランドカラーの白藤色を基調としており、ボディ部分がロゴの声紋と同じ波形になっているのは、細かなこだわりを忘れぬ彼女らしい。会場には他にもダルマや招き猫、造花など、白藤色のアイテムが参列。一点物の美術品として、購入できてしまうのも面白い。白い壁で覆われた無機質な空間に彩りを添えていた。


服をかけているハンガーまで白藤色で装飾されていたのには、思わず感服してしまった。一点一点、スプレーで染めたという木製のハンガーは可愛らしく、黒い文字のロゴがアクセントに。それぞれの服がまぎれもなくSUSU by Ikkyu Nakajimaの作品であると、誇示しているかのようだった。


ひと際目を惹いたのは、かねてよりイッキュウが敬愛していたKANIZSAとコラボレーションのメインビジュアルだ。壁を堂々と占拠するポスターに「5年間プロジェクトを続けてきた」という誇りが力強くにじむ。会場では、偶然にもKANIZSAデザイナーである本田剛さんにも遭遇! イッキュウに興奮とときめきを与えたブランドとのコラボは、彼女にとって大きな自信になったことだろう。
会場には、ビジュアルで彼女が着用していたセットアップも展示。もともとコラボレーションで全く新しい商品を作る予定だったが、KANIZSAの意匠を組んだデザインを作品にするため、既存製品(パターン)をオリジナルカラーで展開する形となった。SUSU by Ikkyu Nakajimaの世界観を反映したコラボモデルは、気高くクレバーでへこたれない強さを放つ。ブランド5周年の集大成といっても過言ではないような、美しさが宿っていた。


ブランドの集大成といえば、この日発売された『SUSU by Ikkyu Nakajima 5th Anniversary Book』も外せないトピックのひとつである。シンプルな表紙をまとった冊子は、紙質がしっかりしていて5周年の重みを感じるには十分すぎるくらいの重厚感。1ページめくるたび、心血注がれた写真や文字に乗って彼女の想いが流れこんでくる。“エモい”なんて言葉が稚拙に感じてしまうくらい、彼女の生き様が惜しげもなく詰めこまれていた。


会場にはこのほかにも、”5th Anniversary”をテーマに作られた7XL 2XLシャツや新キャラクター“ヌーフ”のぬいぐるみも展示。限られたスペースのなかに、中嶋イッキュウというひとりの人間の5年間が濃縮された空間であった。

中嶋イッキュウに、次なるビジョンを訊いてみた。
「今までの5年間ほとんど一人でやってきたけど、今はふたりが加わってくれて同じくらいのエネルギーを使って動いてくれているので、もっと作りたいものを作っていけたらいいなって。ひとりでもやれていたけど、3人いるとやりたいことがもっと出てくるんだなって思いました。」

ーファンに向けてメッセージ
「tricotを始めて11年目なんですけど『SUSU by Ikkyu Nakajima 5th Anniversary Book』を作っていって、5周年をさかのぼっていったら、半分くらいはバンドも一緒にやっていたんやなって気づいて。意外と歴史あると思って。tricotの方で楽曲を作って、アパレルで発散してって、いい循環を作っていけたらいいなって思います。それを楽しんでもらえたら、嬉しいです」

Report : 坂井彩花 Photo :kaochi ;All Coordination:LUCKAND編集部

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中嶋イッキュウの過去の記事はこちら
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中嶋イッキュウ
滋賀県出身。ロックバンド tricotのギター・ボーカル、ジェニーハイのボーカルとして活動。バンドのマーチャンを自ら手掛けていたことをきっかけに、ブランド「SUSU by Ikkyu Nakajima」を立ち上げる。
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