2017.07.04

対話から創られる奇跡

KYOTARO(アーティスト)

今号の紙面裏メインビジュアルを制作したKYOTARO。先日DIESEL ART GALLERYにて、実に7年ぶりとなる大型個展『Clad in the Universe -宇宙を纏う』を行い、大成功させたアーティストだ。彼女の鉛筆画が織りなす、緻密な描き込みと濃淡で描き出される絵画は、観る者を一瞬にして惹き込み、片やペインティングは衝動やダイナミックさが全面に放たれ、一気に圧倒する。この度の個展でもその正反対の作風が共存し、独特なエネルギーが生み出されていたが、改めてその本質を探るべく、インタビューを行った。
描く前にクライアントと「対話」し、相手が欲するものと自分の個性を融合させることで最良を導き出し、描くという彼女。自身に合うスタイルと出会い、様々な共創により開花されていったそのオリジナリティについて訊いた。

「”ハマるだけ、ハマっとけ” 人に止められても、突き詰めれば後あと役に立つ」

━KYOTARO さんの今後の目標や夢を教えて下さい。

KYOTARO

色々とあるんですが、まずは東京と京都に拠点を作るのと、インターネットで EC を強化していきたいです。 海外、特にニューヨークで絵画の個展を開きたいですね。

━海外、いいですね。

KYOTARO

その為にもキチンと海外でのパートナーを見つけないと思っています。私の絵に対しての理解と意思疎通がないと、 なかなか気持ちを一つにして広げてもらえないので「この人となら家族になってもいい!!」ぐらいの、以心伝心できる方との出会いを求めています。

━先ほど東京と京都を拠点に、との話が出ましたが?

KYOTARO

自然が豊かな場所と都会を行き来するというのが理想です。絵を描く上では京都は凄く環境が良くて。自然の力を吸収できることも多いし。KYOTARO が日本、世界の各土地で定着して使っていただけるような環境作りを目指したいですね。

━具体的にいうと?

KYOTARO

今回 7 年ぶりの自分のアーティストとしての大きな個展を開けたことで、生み出す表現者の立場として、新しく立てた感じがするんです。なのでここからは、それを基に更に人の役に立つ仕事をしたくて。全体の底上げも見据えつつ、「日本のクリエーターやアーティストって面白いね」と海外の方にも感じてもらえる、そんな発表をしていけたらなと。あとは自分の会社を作りたいですね。

━未来のクリエーターのみなさんにメッセージをお願いします。

KYOTARO

「ハマるだけ、ハマっとけ!」ですね。人に止められても、自分がハマった分野を突き詰めていくことは後あと役に立つので。それこそ内緒にしてでもハマり続けとけ! みたいな。これって絶対に、その後、何かの役に立ったり、身を助けたりすると思うんです。逆にハマることは、勉強するとの意識がなくても自然とスイスイ身体に入ってくるものなので、とことん掘って掘り続けて欲しいですね。あとは、実際に自分の夢や目標を書いて、目に見えるところに貼って、常にそれを確認することかな。

━それは?

KYOTARO

実はこれ、とても大事なことで。私もそうしているんですが。現在も節目にそれを見て、現時点を確認したり、改めて自身の気を引き締めたりしているんです。「自分がどういった生活がしたい!」とか、「どういった人と一緒に仕事をしたい!」とか、そういったものを明確にしておけば、実現するのも早いですから。


KYOTARO 愛用品

「三菱鉛筆uni」

小学生の頃から愛用しているメイドインジャパンの鉛筆です。デッサンを始めた頃に出逢い、鉛筆の中でも柔らかくて粘り気があって自分の筆圧に合っているところが気に入っています。その鉛筆自体が持っている 雰囲気ってあるんですよね。濃淡によってパッパッと使い分けて描いてます。ホルダーを付けたりしながら、 それでも持てなくなるぐらいチビになるまで使ってます。




「Jas M.B.(ジャスエムビー)のバッグ」

メンズラインが強いブランドのようですが、長いものは16 年間愛用しています。この落ち着いて深みのある雰囲気が好きで。私は性別的には女性ですが中性的な感じが楽で好きなんです。なのでメンズものも好んで着たりしています。自分の名乗っている KYOTARO もそうなんですが、性別の先入観なくまずは絵を見て欲しいところもありますね。







「今、欲しいもの」

ウェブサイトを充実する術と英会話力ですね。

INTERVIEW & TEXT:LUCKAND
PHOTO:伊藤由岐

主に鉛筆にて描くドローイングアーティスト。
1978年京都生。幼い頃から漫画や絵本の挿し絵、サイケデリックな絵に興味をもつ。
’98年京都嵯峨美術短期大学グラフィックデザインコース卒業。’99年に拠点を東京に移す。
2000年に展覧会を行い、以後、国内にて多数個展を開催し、ニューヨーク、マイアミ、北京、上海、サンフランシスコ等のグループ展にも参加。
これまでに7冊の作品集や絵本を刊行し、2013年6月には伊勢丹新宿店のショーウィンドー12面に『天界トリップ』の幻獣や神々のドローイングを展開する。
今年に入り2月~5月まで、東京・渋谷のDIESEL ART GALLERYにて、『Clad in the Universe – 宇宙を纏う』と題した7年ぶりの大型個展を開催。大成功に収める。
東京と京都に活動拠点を持ち、ドローイングに留まらず、ペインティング、マンガ、アニメーション等、幅広い分野で活動中。

http://www.kyotaro.biz/

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