2017.12.19

福井伸実 原画展「また日の目を見る」

福井伸実(恋する絵描き)

これまで数々の音楽系アーティストのアートワークを手がけてきたイラストレーターとしての活動を続け、一方で2017年8月に開催された個展「いつかみた幻とくちづけ」では自身のルーツである油彩の作品を多く創作した福井伸実。そんな変革期を迎えているという福井が、ゲスの極み乙女。、さめざめ、アルカラなどこれまで手がけたアートワーク原画を展示する原画展を開催した。本展では同時にそれらのアートワーク・イラストレーションを、油彩にて再度描いた新作も発表。そんな展示の様子をレポートする。

福井伸実 原画展「また日の目を見る」
■日時:2017年11月14日(火)〜11月26日(日)
■場所:LUCKAND-Gallery Cafe&Bar-

メインビジュアル

「イラストレーターや『何々の絵を描いている福井伸実』ではなく、『福井伸実』という1人の芸術家として認められたいので、そこを目指した活動に移っていきます」

展示と合わせて実施されたインタビューにて語った、福井伸実の言葉(READ THE INTERVIEW:「イラストレーターから芸術家への過渡期」)。これまでさめざめ、ゲスの極み乙女。、アルカラなどの音楽系アーティストで手がけたアートワーク・イラストレーションの原画を一挙展示し、これまでの活動に一区切りをつけんとするような意思表示を感じたような原画展であった。メインビジュアルを再現するかのように壁一面に飾られた作品は、原画ならではの息遣いと力強さを放っており圧倒される。

原画の展示でこれまでの歩みを見せると同時に、この展示では未来への一歩を共存させた。水彩やペン画が中心の過去の原画を、自身のルーツである油彩で描き直した新作を制作し、並列して展示したのだ。油彩で描きなおした作品は、「さめざめ/スカートめくり」と「ゲスの極み乙女。/ドレスの脱ぎ方」、そして「ゲス君」のアートワークだ。

当時福井がこれらのアートワークを手がけてから今までの数年間という時間の重なりを、イラストレーションとは違う油彩ならではの立体感が表現しているようだ。モチーフの女の子が成長して、感情に成熟さを含んだようにも感じられた。

インタビューのタイトル通り、イラストレーターから芸術家への過渡期を表現した展示を終え、今後芸術家として歩んでいく福井伸実の未来を楽しみにしたい。尚、これらの新作はプロダクトにも落とし込まれており、完売したものも多いが一部通販されているものもあるので、ぜひチェックしてみてほしい(LUCKAND WEBSHOP:http://shop.luckand.jp/)。

TEXT&PHOTO:LUCKAND

<福井伸実>
逆子の未熟児生まれ。ギリギリ北海道生まれの東京都育ちで吉祥寺在住。武蔵野美術大学 造形学部油絵学科油絵専攻卒業。恋する絵描き。ゲスの極み乙女。、アルカラ、さめざめなど音楽系アーティストのCDジャケットやアートワークデザインをはじめ、ノベルティやライブツアーのグッズ、ポスターなどのイラストからデザインを制作。一方でイラストだけではなく、油絵やアクリルによる自身の作品を創作し、これまでに度々個展を開催している。また、トークやライブペイントのイベント開催など多岐に渡った活動を続けている。
http://fukuinobumi.jp/

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