2019.01.23
繋がるべくして繋がる人
福永浩平(雨のパレード・ミュージシャン)× 井崎 竜太朗(フォトグラファー)
アートやカルチャー全般に興味を持つ福永浩平が自ら“発見”した才能がフォトグラファー井崎竜太朗であり、「Tracks T-Shirts」から始まった共創は、さらにユニークなプロダクトに結実しつつある。90年代前半生まれの同世代感も相まった、作り手同士の「繋がり方」について訊く。
「まだ知名度のない若い子と一緒に何か作りたいと常に思っている」(福永)
ーまずは福永さんと井崎さんとのそもそもの出会いからお伺いできれば。最初は雨のパレードチームから井崎さんへの接触だったんですか?
福永浩平(以下、福永)
僕なんですけど。インスタとかで若い子とかまだ全然知名度のない子を見つけて一緒になんかしたいなと思うことが今までもいくつかあって。僕、写真でそんなにハマる子を見つけたことがなかったんですけど、「いいな、この子」みたいなのを井崎君の写真に感じまして。それで顔が広いカメラマンの女友達がいて(笑)。その子に言えばだいたい繋がれるって子がいて、繋げてもらって。その時考えてた企画が、「Tracks T-Shirts」っていうんですけど、僕らの曲を曲ごとにTシャツにしていくみたいな企画で。それだと写真をはめて曲ごとにイメージをいっぱい作れるなと思って。井崎君の仕事量多くなっちゃうんですけど、こういう企画を一緒にやれたらいいなってことで始まりましたね。
ー井崎さんは雨のパレードに対するイメージはありましたか?
井崎竜太朗(以下、井崎)
ありました。ブランディングからはイメージを丸ごと受け取れるようなこだわりがあって。どことなくシンパシー感みたいなのもあって、それは写真が好き、アートが好きみたいなところですね。それを浩平さんたちは音楽で、僕は写真で表現していて、一緒にやれるってなったから、元々共通している部分は結構ありましたよね。
ー最初はどんな話をしたんですか?
福永
二人とも地元が九州なんで。意外と共通の知り合いとかもいたりとかして。
ー多いですよね。九州。向井太一さんもそうだし、井崎さんはSTEPHANSMITHの今回の写真を撮ってるし。
福永
昔、対バンしてました。井崎君は大学の同級生なんですよね。
ー世代的にもほぼ一緒ですよね?
福永
(井崎さんは)2個下だよね? 2個下の友達いっぱいいるな。
ー福永さんは井崎さんに依頼するときイメージを伝えて撮ってもらうのか、井崎さんに任せているのかどちらですか?
福永
初めて会った日に「曲ごとに写真を撮ってもらうみたいなことをお願いしたいんだけど」って言いましたね。で、やってみたいって言ってくれたんで、それで一緒にやる形になりました。それで、井崎君と作ったグッズで終わりじゃなくて、グッズを着たところの写真を撮ってもらうところまで、井崎君とできてるんで、そういうところで親和性みたいなものができてるのかもしれないですね。モデルの山本奈衣瑠って子も含めて、3人の好きなものがピンポイントで同じものが多くて。だから何も口出さなくてもいいものができちゃうみたいなところがすごい新鮮でしたね。
ーそれにしても楽曲ごとに違う写真のTシャツってないですよね。
福永
そうなんですよ。正直、“考える時間”みたいなものの重きを楽曲作りに置いてるから、レーベル側や事務所側も「曲に集中して欲しい」みたなところがあって。その上でグッズの最初の企画さえ考えちゃえば僕があまり口出ししなくても、井崎君が撮ってくれた写真からセレクトするだけで作れちゃうっていうテンプレートができたんで。逆に枠を決められちゃったからこそ作れた企画というか。他のバンドはやってないし面白いかなと思って。将来的に(ファンも)「福永さん、今日、私たち1stアルバムで揃えてきました」みたいな(笑)。12人の子が12曲で揃えてくるとか面白いなと思って。
ーファンの行動に影響するグッズって面白いですね。最初にそのアイデアを聞いた時、どう思われたんですか?
井崎
アイデアを聞いた時というか、この写真が僕の普段のパーソナルワークなんですよ。それをピックしてくれることだけで嬉しい思いが最初は強くて。あとはそれを着て街を歩いてる人がいるっていうことへの感動が強いし。音楽と一緒に歩んでいけるのは嬉しいですね。
ー作品が人のものになって動いていくことってないですもんね。
井崎
そうなんです。写真ってやっぱり美術的な展示とかだったら静かなところにあるものだから、僕もそこをどう動かしていくか?っていうのは結構考えるタイプで。どうやったらみんなに見てもらえるか?っていうのは今も模索しないと上に行けなかったりとか。もっともっと知ってもらいたいなと思ってるからこそ考えるところだから、そういう意味ではほんとにありがたいですね(笑)。
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