「音楽と写真だけでなく、『作る』といういワードだけでコラボしたい」（井崎）

ー二人の周囲の人も含めてカルチャーへの興味や関心は高いんでしょうか。例えば福永さんは井崎さんに個人的な関心から声をかけたわけで、自由度が高い。

福永

そうですね。インスタとかがあるので見つけやすい時代だと思うし。自己表現する場所みたいなものが、距離を感じないところであるわけで、そこはいいところではあると思います。でも結局、繋がる人は繋がるのかなと思ってて。どんな時代でもどんな遠回りしても。だから繋がるべくして繋がればそれでいいのかなと思う。

ー井崎さんも1993年生まれのアーティストのグループ展に参加してて、別のジャンルの人とも繋がったんじゃないですか？

井崎

もちろん。それこそ30人ぐらいでみんなそれぞれ何かをやってる人が集まったんで、それは面白かったです。それこそなんですけど、浩平さんと繋がるきっかけをくれた、展示をキュレーションしたした小林真梨子っていう人がいるんですけど、初めて出会ったのがその企画で、その子が誘ってくれたんですよ、何も知らない僕を。福岡から出てきて間もなくて誰も知らなくて、そこでピックしてくれたから、浩平さんの目にも入ったのかもしれないし、いろんなところで繋がれたって感覚は確かにあの企画にはありました。

ーちなみに音楽ファンとしての井崎さんの志向は？

井崎

音楽好きな家で、ずっと音楽かかってて。で、だから結構、写真を好きになったり撮り始めたのも、入りは音楽だったんです。アーティストが福岡に来て、イベント周りにいたから仲間で備忘録として撮ってっていうのがスタートだったんで、音楽が結構近くにあって。でも何が好きか？って聞かれたら難しいですけど、大事な音楽でいつも頭にあるのは……究極言うとビートルズとかそういうことですね。

ー軸なんですね。

井崎

軸だし、そういうところからインスパイアも受けるし。でもこの「Tracks T-Shirts」のシリーズ撮ってるときはずっとクラフトワークを聴いてて。

福永

へー！そうなんだ。

井崎

クラフトワーク聴きながら街を歩いて撮ってましたね。

ー聴く音楽で景色の見え方も変わって来そうです。では最後に雨のパレードと井崎さんのコラボの今後について。

井崎

結構何でもやりたいです（笑）。

福永

そうですね。アー写とかもやれたら嬉しいですよね。色々一緒に。ま、可能性はいっぱいあると思うし。

井崎

僕的にはみんなが想像してなかったことをやりたい。例えば「アー写撮りました」って言うと「ああ、アー写か」ってなるじゃないですか。で、なんかそこよりも「あ、これなんだ？」っていう方をやってみたいです。

福永

いいですね。僕、井崎君のいいところはアイデアマンなところだと思うんです。それこそこの透明バッグの写真撮る時に「どうやって撮ろうか？」ってことを漠然としか考えてなかったんですけど、「（バッグの）中に水を入れて、ラメみたいなの入れてかき混ぜて撮ったらどうですか？」「めっちゃいいじゃん！」と思って（笑）。透明バッグに水入れるってめちゃくちゃかっこいいなと思って。奈衣瑠と俺でめちゃくちゃテンション上がったよね。

井崎

（笑）。

ーまだまだ意表を突くコラボレーションが起きそうですね。

井崎

そうですね。音楽と写真だけじゃないかもしれない。そこも取っ払って、それこそ考え方とか、シンパシーがあるから「作る」ってワードだけで一緒にできたらいいなと思いますね。

福永浩平 愛用品

指輪

昔、音楽以外のジュエリー作家やペインター、衣装作家もメンバーでいたんですけど、ジュエリー作家の子が作った指輪です。人間の細胞を拡大した時の形をテーマにしていて、僕は好きだなと思って。でももうこの形が何だったかは覚えてない。似た指輪を古着屋で見つけたので、両手につけています。

井崎竜太朗 愛用品

ライカのコンパクト・フィルムカメラ

正直、カメラにそんなにこだわりがなくて。これは単純に形がかっこいいなと思うぐらいで、多分、一番しょぼいライカです（笑）。写り云々よりモノとしてかっこいいなと思って。ごろっとしてるところとか。もちろん、実際の撮影にも使ってます。フィルムカメラなので思わぬものが撮れることもありますね。

INTERVIEW&TEXT：石角友香
PHOTO：Kana Tarumi