Art Direction&Design : 勝見拓矢(FIXON)
Cover Illustration : かとうれい
Character Illustration(サイダガちゃん) : りゅうせー
Photography : G-KEN

今、若者層に絶大な人気を博しているイラストレーターのかとうれい。「ゆめかわいい」と評されるロマンチックなイラストは、懐かしさと少しのサブカル感が混在する。冒頭「若者層」と書いたが、アラフォー世代にとっては江口寿史で感じた甘酸っぱさを思い出す人もいるかもしれない。サイダーガールはインディーズ盤から一貫して、かとうのイラストがジャケットを飾り、アートディレクション＆デザインを勝見拓矢が担当していた。アルバムタイトル『SODA POP FANCLUB1』に因み、セーラー服を着た少女の顔にはコラージュされた「1」が大きく鎮座。この数字や盤面に使用された、デザインの基本とも言われる三角や四角、丸などのシンプルな形は、何度目かの流行を経て現在もアートワークやファッションシーンなどで進化を続けており、今回もまさに「今」を感じる。初回限定版と通常版それぞれのメインカラーに置いた水色と黄色のインパクトを含め、勝見とかとうのタッグはメジャーになったサイダーガールをより拡散するはずだ。

サイダーガールは、今の時代だからこそ生まれたバンドだ。インターネット出身でメディアへの顔出しをしない。しかしナチュラルなセンスでリスナーにはしっかり届いているところがカルチャーの発端を見るようで面白い。初のフルアルバムとシンセ、ピアノなど新たなアプローチも取り入れ、疾走感だけではなくBPMの緩急も意識することで作品としての立体感が生まれた。知(Guitar)が挑戦するための武器にすべきか悩んだというダンスナンバー「メランコリー」は、ライヴで確実にオーディエンスと一体化するはず。筆者個人的にはM4「なまけもの」のようなロックの緩やかな側面をユニークに表現した曲も外せない。今作はこうやって自分のフェイバリットソングを悩みながら決めたり変えたり出来るアルバムだ。勿論 7月に発売されたデビューシングル「エバーグリーン」も収録。メンバー全員がソングライターとしての個性を発揮するからこそ、ギターロックバンドとしての進化はまだまだ続くだろう。現在「TOUR2017-2018 サイダーのゆくえ-JUMP ON THE BANDWAGON-」の真っ只中。年末には「Livemasters Inc. countdown “GT2018″」にも出演する。

サイダーガール “メランコリー” Music Video

Director : 丸山 智宏
Camera : 村枝 里郎
Light : 染谷 昭浩
Edit & CG Design : 勝見拓矢
ACT : 池間夏海(2017年度サイダーガール)他

一切メディアに顔出しをしないため、MVなどにはイメージキャラクターが登場。今年は沖縄県出身の池間夏海が2017年度サイダーガールとして炭酸系サウンドを彩る。ジャケットのアートディレクション＆デザインに続き、CGと編集を勝見拓矢が担当。動画アプリのスタンプみたいなポップなCGが可愛い。ラストのメンバーも交えたライヴハウスでのダンスシーンを実際に踊ってみたければ「ゆらぐるダンス 完全版」も合わせてチェック。

CIDER BOX

Character Illustration(サイダガちゃん) : りゅうせー
Art Direction&Design : LUCKON GRAPHICS(LUCK’A Inc)

サイダーガールのオフィシャル・アートムック。イヤーブックとして毎年1冊ずつ発売されるこの「CIDER BOX」は同梱のムック本に記載されたシリアルナンバーを使用して、オフィシャルファンクラブ「CIDER LABO」の会員限定のWebサービスが受けられる。2017年12月現在ではメンバーのコメント動画や楽屋での様子が垣間見えたり、今後チケットの先行予約ができたりと、嬉しいコンテンツが追加されていくようだ。きわめつけはクラッチバッグにもなるオリジナルポーチ。フィジカルにもこだわりが込められており、彼らのユーモアセンスや、新しいコミュニケーションへの挑戦も感じる内容だ。

TEXT：秋山 昌未 / LUCKAND