Art Direction&Design : 勝見拓矢(FIXON)
Design : 伊藤光騎
Cover Illustration : かとうれい

サイダーガール×かとうれい×勝見拓矢のタッグは今回で8作目。
＜青色が好き＞と自身のTwitterプロフィールに書く、かとうの青は清々しく、繊細なラインで描かれる少女の姿は瑞々しい。ブックカバーイラストや日本郵便の特設サイトキービジュアルなどとは違い、サイダーガール作品ではあまり少女の顔の全貌は見せない。今回も初回限定盤は後ろ姿、通常盤は水しぶきで口以外の顔の造作が見えないよう描かれている。情報過多が当たり前の世代には、こういう＜想像力の隙間＞は惹きつけられるポイントのひとつかもしれない。ちなみにジャケットイラストの背景は「約束」のMVと連動しているので、その点も併せてチェックして欲しい。

アートディレクション＆デザインの勝見はTENDREのアートワークやKEYTALKのMVなど手がけるなど、やはり音楽に根ざしている。盤面は幾何学模様的にタイトルのタイポグラフィを配置し、どこを取っても夏らしいデザインとなっている。

「等身大の、僕らなりの夏が始まります」 本作に対してのメンバーコメント通り、サイダーガールの夏がやってきた！＜最大級の衝撃をくれよ＞＜青臭い感情を不器用だけど未完成だけど君の為に捨てないでおくよ＞まさに青臭いと言える真っ直ぐな感情を、爽やかに疾走するサウンドに乗せたタイトルナンバー。若さや夏につきまとう独特な切なさをさらりと入れ込むあたりはサイダーガールらしい。この曲は、少女漫画雑誌『マーガレット』で2014年から掲載された、椎葉ナナによる同名漫画が原作のMBS・TBS系ドラマ『覚悟はいいかそこの女子』挿入歌。更にc/w「リバーシブル」は、6月23日公開の映画『わたしに××しなさい！』の挿入歌。すでにこの2曲を聴くとドラマや映画のシーンが浮かんでくる人も少なくないはずだ。その他、ロックバラードの「カメレオン」を含む全3曲収録。

サイダーガール「約束」

Director & Camera　脇坂 侑希（isai）

男女が楽しそうにふざけあってプール掃除。このまま清涼飲料水のCMに起用されても違和感がない青春感！ディレクションはHump BackやLAMP IN TERRENのMVも手がける脇坂侑希。2018年度のサイダーガールイメージキャラクターの杉本愛里が青空の下、眩しそうに目を細め、制服でプールに水を巻きながら友達と笑い合う。夕暮れに包まれたメンバーの演奏シーンは、夏と青春時代の刹那さを感じさせる。絡み合うそのふたつのコントラストは実に絶妙だ。MV撮影時のオフショットは今後サイダーガールの公式SNSアカウントにて公開予定。

TEXT ： 秋山雅美