Art Direction & Design : TAKU KATSUMI(FIXION)
Desigh : 伊藤光騎(FIXON)
Cover Illustration : かとうれい

例えば中村佑介氏のイラストを目にすると、反射的にAsian Kung-fu Generationの音楽が脳内に流れ出すように、かとうれいのイラストを見れば間違いなくサイダーガールが耳に蘇る。
Art Direction&Design勝見拓矢（FIXON）、 Cover Illustrationかとうれい。この不動のコンビに加え、Designは『約束』同様、伊藤光騎（FIXON）。そんな今回は完全数量限定生産盤と通常盤の違いにスポットを当てよう。今作は『SODA POP FANCLUB』シリーズの第二弾ということでメインカラーも1同様、完全数量限定生産盤は青、通常盤は黄色で統一。（1の時とは青の配色は違うが）
それ以外にも今までと変化がある。女の子の髪型だ。これまで動作や向きによって変えていたものを、今回はポニーテールと下ろした髪で変化させている。特に通常盤は活発というだけでなく、軽く男の子への挑発を感じる目だ。髪型の違いによって生まれる表情の違いで思春期ならではのトキメキを絶妙に表現している。

ライヴバンド特有のポップでアグレッシブ。清涼飲料水のように爽やか。少なくとも『SODA POP FANCLUB1』までサイダーガールに抱いていたそんな印象が、良い意味で少し揺らいだ。勿論「サテライト」や「パレット」のような＜らしさ＞は十分堪能しつつ、「化物」 のようなクールなダンスナンバーは実に新鮮だ。更に昨年公開された映画『家族のはなし』の主題歌となった「dialogue」は、原作の鉄拳よりパラパラ漫画を用いるエンディングの尺を意識して欲しいとの依頼だったらしく実に7分42秒にも及ぶ大作だが、決して中だるみや重さを感じさせない温かなメロディが展開され、サイダーガールの幅の広がりを感じずにはいられない一枚となった。

サイダーガール「サテライト」

【CAST】杉本 愛里（2018年度サイダーガール）、細田 佳央太
【STAFF】Director　倉本雷大

「君を忘れないよ。」 2018年度サイダーガール杉本愛里のセリフから始まるMVは、まるで映画のトレーラーみたいだ。先程女の子の髪型の違いについて触れたが、このMVではまさにその両方が映し出されている。ポニーテールで活発に笑う笑顔や口元、髪を下ろしアイスを食べたりゲームをするはにかんだ目元。日常の何気ない彼女がムービーだけでなく何枚ものスチールで溢れ出す。「ロリータなんて」、「思春期ごっこ」、「恋愛奇譚集」など一貫して新進女優を撮り続けている映画監督の倉本雷大が今回メガホンを取ったため、映画を感じたのは当然なのだ。冒頭のセリフがまるで映画本編のように曲の中間で登場し、そのまま歌へと繋がる。画の生っぽさもサイダーガールMVに新しい風を吹き込んだ。

TEXT ： 秋山雅美