2019.04.10

ポラリス

ヒトリエ



Art Direction, Artwork & Design : 永戸鉄也

ヒトリエのアートワークを長く手掛ける永戸は、俯瞰しつつもミュージシャンの想像力を無言でひっぱり出すセンスと、想像外の衝撃を与えるパワーを持っている。
ヒトリエのボーカルでソングライティングを手掛けるwowakaは、あるインタビューで北極星を意味する『ポラリス』について、「この曲とこのタイトルとこのアートワークが発しているこの感じが全て」だと語っている。単に言葉の持つ意味ではなく、意味感を大事にしたいと。つまり楽曲・タイトル・アートワークは完全に渾然一体なのだ。
座っている顔のない人の頭部を覆う青い筋はこの人から発せられる感情だろうか?それとも音楽を聴いた時にそのミュージシャンの言葉や見えないなにかと繋がっている証だろうか?いや、そのどちらでもないかもしれない。ただ足元の小石を拾おうとする手からは孤独を感じられた。また、独特のグラデーションはあるにせよ、表4は表1と違うタッチ。中面も曲によってまるで違う表現で音の世界と手を組んでいる。バックインレイに至っては、中面はCDケースごとコピーし、角丸の写真を配置。外面はパソコンが出たての頃のようなチープなCG。帯は中面と連動した映像が重なるバグのようなデザイン。 ある意味、永戸でなくては怖くて挑戦出来ないデザインだ。ただ、ジャケットイラストにホログラムを施したポラリス盤(初回仕様限定盤)付属のビッグサイズ缶バッジにそそられる人は多いだろう。

「誰も居ない道を行け」サビのこの歌詞が耳に、そして心に残る。アニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)のエンディングテーマとして書き下ろされたタイトルナンバーは、孤独を超えようとする感情を、歌詞でもサウンドでも繊細に描いている。苦悩を吐き出すよう早口のパートや炸裂するゆーまおのブラストビート。更に「RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY」の気怠げなビートとノイジーなデジタル音は今までのヒトリエとも一味違う。wowakaが現実逃避時代に作った「日常と地球の額縁」のバンドアレンジもかなり聴き応えがあり、初の海外ツアーを経て、バンドとして更に一皮剥けたのではないだろうか。

ヒトリエ「ポラリス」

池田圭(isai Inc.)

 

今作でディレクションとカメラマンを担当したのは、岩井俊二監督作品に魅了され、独学で映像を学んだ映像ディレクターの池田圭(isai Inc.)。プロデューサーは「絶対的」のMVも手掛けた沖崇信(MAZRI Inc.)。音楽に愛されるこの二人が組んだ今作のMVは演奏シーンのアグレッシブなアングルが見どころ。主演は最近あいみょんのMVでも話題を呼んだ俳優・モデルの小河原義経。目を瞑り(心の目を閉じ)揺れる心のまま彷徨う主人公が、ヒトリエの演奏で目を開くシーンにも注目を。

TEXT : 秋山雅美

ヒトリエ Official Site

http://www.hitorie.jp/

ヒトリエ


「ポラリス」

初回生産限定盤(ポラリス盤)[CD+DVD+ホログラム缶バッジ]
AICL-3597~9
¥2,000(+tax)
購入はこちら

通常盤(日常盤)
AICL-3600
¥1,200(+tax)
購入はこちら

2018年11月28日発売

[CD]
M1.ポラリス
M2.RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY
M3.日常と地球の額縁

[DVD] ポラリスMUSIC VIDEO

RECOMMEND