2017.05.09
継承すべき日本職人の技
RADWIMPS「Human Bloom ネックレス」「Human Bloom ピアス」職人インタビュー
アニメーション映画『君の名は。』の音楽全般に携わり、これまで以上に幅広い層にその存在を知らしめた、ロックバンドRADWIMPS(以下 : RAD)。その全国ツアー『Human Bloom Tour 2017』が各所大盛況のなか間もなく千秋楽を迎える。今回も様々なツアーグッズが作られ、中でも「Human Bloom ネックレス」と「Human Bloom ピアス」の登場は目を惹くものがあった。
RADらしいこだわりのある逸品に仕上がっているこれらのグッズ。それを具現化できたのも職人たちの手による緻密な技術があってのこと。音楽のみならず、良質なモノを届けようとするRADの精神が日本職人を動かしたと言っても過言ではない。
今回はそんな「ネックレス」と「ピアス」の職人たちに、LUCKAND公認リポーター『ケイシ』に、それぞれの想いについて訊いてきてもらった。
「どうにかして、この技術を残していきたい」(ろう付け職人・羽山氏)
━羽山さんはおひとりでこの工場をやられてるんですか?
羽山
ひとりでやってます。正直、続けていくには大変厳しい状況で。家族が食べていくためには、この仕事だけではキツいので、20年ほど前から家内にパートに出てもらい、切り盛りしてなんとか続けてます。誰かを雇う余裕もありませんので…。
━以前はどうでした?
羽山
仕事が溢れていて、忙しく連日徹夜の時代もありました。特に12月の暮れは忙しくて。それこそやってもやっても追いつかないほどで。以前は十数人仲間がいましたが、みんなタクシーの運転手やガードマンなどに転職してしまったり、年齢的に亡くなってしまったり…。
━いつ頃から仕事が減り始めたんですか?
羽山
バブル崩壊後ですね。あとは、これに変わって「キャスト」(加工がしやすく、軽くて丈夫な造形材。)で土台ができるようになってしまったのも大きかったです。その「キャスト」が進出しはじめて仕事が減っていきました。それから10年ほど前から韓国製が増えたのも要因です。安価で作れるんです、韓国だと。昔の中国製のものはすぐ壊れてしまっていたんですが、最近は質もそこそこ良くなり、値段も韓国とそう変わらないですからね。それらの影響もあり仕事も減り、今ではこの種の職人がほとんどいなくなってしまったんです。
━今は、どのようなお仕事をメインに?
羽山
依頼の9割が「はんだ付け」ですね。ろう付けの仕事はめっきり減りました。
━この仕事を下の世代に残したりはしているんですか?
羽山
正直、私1代限りかなと思っています。サラリーマンと同じぐらいの給料をもらうにはなかなか厳しい職種なので、親族に継がせることもできなくて。
—技術を学びたい、受け継ぎたいという人がいたらどうしますか?
羽山
ぜひ教えたいですね。例えそれが商売抜きで趣味でも、受け継ぎたいという人がいるのであれば、この技術は是非とも伝えたい。
━きっといるんじゃないでしょうか。
羽山
私の周りにも元々アクセサリーメーカーなどにいた方が退職後に、「仕事ではなく個人的に趣味として技術を学びたい」という方がおられるので、その方々には、たまに教えたりもしています。
—この技術を学びたい人がいて、会得したあと、例えば自身のブランドを立ち上げたり、商品をインターネットなどで販売していったりと、継続していける可能性が出てくるかもしれないですもんね。
羽山
そうなったら嬉しい限りですね。
━これらの技術を習得する上で、まず何から学ばなければならないですか?
羽山
まずろう付けの技術の習得からですね。これを習得しないとその先には進めません。是非そこに興味を持ってくれる方が現れて欲しいです。ハンダづけだけでもできれば違うと思います。
━仕事としてこの技術をレクチャーしたり、教室を開くことは効果があるように思えます。
羽山
誰かに教えたり自ら考案した商品を作ろうとすると、そもそも自身が手を動かす時間がなくなってしまいますからね。そういった点では、ある程度環境に恵まれてないとやっていけないかもしれません。これだけで「仕事」として成立させるのは難しいかもしれませんね。綺麗ごとだけではやっていけない世界です。
━最後にモノづくりに興味を持っている方々にメッセージをお願いします!
羽山
自分が始めたばかりの頃は先輩方も大勢いましたが、今となっては自分の下の世代がほとんどいない状況です。果たして今この日本で何人の職人が残っているんでしょう? 今のままではこの技術を知る人がいなくなってしまうので、どうにかしてカタチを残していきたいんです。是非この技術を継承してくれる、若くて向上心を持った人が現れて欲しいですね。
━本日はありがとうございました!
INTERVIEW&REPORT:ケイシ
FACTORY&INTERVIEW PHOTO:西槇太一
GOODS PHOTO:LUCKAND
<RADWIMPS>
2001年に野田洋次郎(Vo, G,P)、桑原彰(G)と共にバンド結成。2005年11月にシングル「25コ目の染色体」でメジャーデビュー。2017月2月より行った全国アリーナツアー「Human Bloom Tour 2017」は全公演Sold Out。5月10日にはシングル「サイハテアイニ/洗脳」をリリースし、6月から海外ツアー「RADWIMPS 2017 Asia Live Tour」を行う。
RADWIMPS公式サイト
http://radwimps.jp/
LIVE
『RADWIMPS 2017 Asia Live Tour』
6/4(日) シンガポール / Megabox Event Hall @ Bigbox
6/9(⾦) 韓国・ソウル / YES24 LIVE HALL
6/10(土) 韓国・ソウル / YES24 LIVE HALL
6/13(火) 香港 / Macpherson Stadium
6/15(木) タイ・バンコク / Moonstar Studio (Studio 1)
6/17(土) 台湾・台北 / ATT SHOW BOX
6/18(日) 台湾・台北 / ATT SHOW BOX