2020.02.21

永戸鉄也個展「Kawaeye: Beyôn by Tetsuya Nagato」

永戸鉄也(アートディレクター/アーティスト)

未来の美的感覚への妄想や、CG加工したものをあえて油絵の模写へと落とし込むことで生まれてくる主張や意義…。
眺めているうちに惹き込まれ、考えさせられるアートディレクター永戸鉄也氏による、「カワイイ」の未来を行く「Kawaeye(カワアイ)」をタイトルにした個展が現在、東京・池尻大橋/中目黒にある104GALERIEと、104GALERIEがプロデュースする新スペース、Warszawa(ワルシャワ)にて絶賛開催中だ。
このLUCKANDでも創刊時より所縁の深い永戸氏。非常にコンセプチュアルな同展示をレポートする。

永戸鉄也個展「Kawaeye: Beyôn by Tetsuya Nagato」
■日時:2020年1月25日(土)~3月25日(水)
■場所:池尻大橋/中目黒 104GALERIE Warszawa

未来の美的感覚への妄想や、CG加工したものをあえて油絵の模写へと落とし込むことで生まれてくる主張や意義…。個人的には、眺めているうちに惹き込まれ、考えさせられる非常にコンセプチュアルな展示であった。

このLUCKANDにて、創刊時より所縁の深いアートディレクター永戸鉄也氏による、「カワイイ」の未来を行く「Kawaeye(カワアイ)」をタイトルにした個展が現在、東京・池尻大橋/中目黒にある104GALERIEと、104GALERIEがプロデュースする新スペース、Warszawa(ワルシャワ)にて絶賛開催中だ。

永戸氏の代表的な作風として挙げられる「コラージュ」。既存のマテリアルを独自の感性と発想によりコラージュしてゆく、その独創性溢れる作風にはファンも多い。
しかし、今回の個展で発表された絵画作品はそのような彼本来のコラージュ作品とはまた違った特性を擁したものばかり。コラージュの引用元はいわゆる名画と言われるものから、どこかで目にしたことのある有名広告やパッケージ、はたまた過去の資料や文献から拾われたと思しきものまで幅広い。しかも、どの絵画もそこに描かれているものの眼だけが極端に下方に引き伸ばされている。それぞれ絶妙な下がり具合に目がデフォルメされた絵画の中には人物のみならず彫刻や猫までもが混じっている。
この絵画たちのコンセプトは21世紀半ばの人間の美意識。そこでは、整形や写真加工技術でその目も尋常ではない大きさになっているとされている。過去の絵を用いながら、未来の感覚で捉えた世界を描き出すというレトロフューチャーな発想も面白い。

そして今回の作品の最大の特徴は、それまでの永戸氏のアナログな手法もしくはCGからのアウトプットとは違い、あえて油絵として出力しているところ。それらは世界のありとあらゆる油絵の複製品、いわゆる「贋作」を製造する職人たちの村、中国・大芬村へと発注され完成に至っている。油絵一枚いちまいが手作業での制作だというから主客転倒だ。

これらの絵画が約30点、104GALERIEとWarszawaにて展示されている。キャンバスのサイズも高さ170cm超から手のひらに乗るほどの大きさまで様々だ。
「複製制作」に宿る無機質さや虚無感。未来の美意識への懐疑。違和感を感じさせる絵画たちは、見る者の「本物」や「正解」といった概念を問うてくるかのようだ。
この個展は3月15日まで同会場で開催され、その後4月には福岡での巡回展も予定されている。

不思議な絵画たちが放つメッセージや問いをあなたはどう捉えるのだろう?是非会場で体験して欲しい。

TEXT&PHOTO:LUCKAND編集部

永戸鉄也
アートディレクター。
1970年東京生まれ 広告、パッケージデザイン、ミュージックビデオ、ドキュメンタリー映像、展覧会キュレーション等。音楽、ファッション、アート、の領域でディレクションを行う。
http://irutokyo.com

 

永戸鉄也個展「Kawaeye: Beyôn by Tetsuya Nagato」
■日時:2020年1月25日(土)~3月25日(水)
休廊日:~14日(日) 日曜・月曜
    15日~25日は無休
営業時間 : 20日(金・祝)~最終日 20時まで延長
■場所:Warszawa:東京都目黒区大橋1-6-4 2F
104GALERIE:東京都目黒区青葉台3-22-1
03-6303-0956 / info@104galerie.com
■入場無料

http://104galerie.com/

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