2016.11.11

未来の職人[クリエイター]たちの言葉

UNISON SQUARE GARDEN×Tシャツプリント職人&染め職人

USGの全国ツアー「UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2016『Dr.Izzy』」の東京公演が、8月15日(月)、16日(火)の2Days、東京・中野サンプラザで行われた。この会場でのプレイは、2014年の年末以来、実に2年ぶり。中でも16日は台風の接近に伴い空模様も不安定。にも関わらず、先行物販開始の遥か前から既に会場の回りには、ニューツアーグッズを手に入れ、ライヴに挑む気マンマンのファンが大勢集まっていた。

「この世界を見つけて、飛び込んで来てもらいたい」(樋口さん・染め暦14年 30代男性)

img_031

ケイシ

東京にも染め工場が存在するんですね?

樋口

そうなんです。まっ、この職種自体、あまり表に出ない世界ですからね。

ケイシ

ちなみに最初から染め工場にお勤めを?

樋口

ですね。高校の頃は普通科でしたが、卒業後、服飾系の専門学校に進んだんです。そこでデニムの加工にハイターなどを使って脱色をしたり、生地をペイントしたりする授業があったんですが、それらが凄く楽しくて。同級生の多くは、卒業してデザイナーの職に就いたりしましたが、僕は学校の先生からの促しもあり、染め工場に就職したんです。

ケイシ

かっこうやスタイル的にもパンクロックバンド系が好きそうだと見受けましたが?

樋口

大好きです!実は中学2年の頃からバンドでギターを弾いてるんです。高校からの進学の際も、最初は音楽学校に行きたかったんですが、親から反対されて、断念したところもあったんです。音楽で食べていけるのはごく一部ですからね。そこで服飾学校を選んだんです。音楽業界とファッション業界は、ゆかりも深いし、切っても切り離せない関係性ですからね。

ケイシ

元々ファッションにも興味が?

樋口

ありました!とは言え、ゴルチェ(※1)やヴィヴィアン(※2)に憧れてましたが、本物は高くて、とてもじゃないけど手が出ないので、なんとか似ているものを自分で作れないかと色々と工夫し、既存の服を加工したりしてました。シド・ヴィシャス(※3)の着ているようなボロボロのTシャツを自分で作ってみたこともありましたよ。
※1ジャン=ポール・ゴルチエ ※2ヴィヴィアン・ウエストウッド ※3パンクの元祖と言われているセックス・ピストルズの著名ベーシスト。パンクファッションのアイコン的存在でもあった

ケイシ

音楽業界からファッション業界へは未練もなくスパっと?

樋口

いや逆に、趣味としてバンドをやり続けるためにも、仕事をがんばってお金を貯めようという考え方に移っていきました。その気概を持ち続けて仕事をしてきたこともあってか、自分で言うのも何ですが、今ではこの仕事が板についてきたのではないかと。

ケイシ

それであれば、音楽系の仕事が入って来たときは嬉しいのでは?

樋口

ですね。たまにバンドTシャツの依頼も来るんですがテンションが上がりますね。そんな時は、違ったカタチではありますが、〈音楽との接点〉を感じたりして、”この仕事をやっていて良かった!!”と思います。

img_032

ケイシ

ちなみに染め歴は?

樋口

14年になります。少しずつ会社の信頼も出来つつあるので、逆に今は脇目をふらずに職人を目指して頑張ってます。身近に染め歴50年の大先輩もおられますからね。まだまだこれからですよ。

ケイシ

この仕事の面白さを読者に伝えるとしたら?

樋口

僕の場合、誰かに教わったのではなく、まずは自分でやってみて楽しいと感じたところから、この仕事に喜びを見出したのですが、けっこう閉じられた世界なので、入って、実際に体験してみないと分からないところも多々あります。なので、みなさんにも、是非この世界を見つけて、飛び込んで来てもらいたいですね。

ケイシ

このメディアが、その一歩を踏み出すきっかけになれるようにがんばります!
今日はありがとうございました!

今回のレポートは以上になりますが、これから『LUCKAND』のリポーターとして、いろいろな工場に行ってきたいと思いますんで、ヨロシクオネガイシマス!

img_033

取材を通してわかったこと、それは紛れもなく工場は、独自の創意工夫がたくさん詰まったクリエイティブな空間だということだ。そこには、熱量があり、魂が込もった職人たちの姿があった。しかし、その現場はとても外からは見えにくい“影”になっていた。そして、見えないまま失われ兼ねない世界でもあった。
今回、UNISON SQUARE GARDENが照らしてくれた“光”は、きっと今後のモノづくり現場を変えるものにだろう。『LUCKAND』というメディアがデキルことを実感した。モノづくりの本質を外に向けて発信することで、価値あるモノづくりの技術や精神を未来に継承していくことができたら、エンタメ業界モノづくりはきっと明るいものになるだろう。

img_034

INTERVIEW & TEXT : カトーハルヒサ
TEXT : 池田スカオ
LIVE PHOTO : Viola Kam
PHOTO : 神棒知史

NEW ALBUM

『Dr.lzzy』

1. エアリアルエイリアン
2. アトラクションがはじまる(they call it “NO.6”)
3. シュガーソングとビターステップ
4. マイノリティ・リポート(darling, I love you)
5. オトノバ中間試験
6. マジョリティ・リポート(darling, I love you)
7. BUSTER DICE MISERY
8. パンデミックサドンデス
9. 8月、昼中の流れ星と飛行機雲
10. フライデイノベルス
11. mix juiceのいうとおり
12. Cheap Cheap Endroll

2016/07/06 Release
¥2,800(+tax)
TFCC-86565
購入はこちら

ツアーについてはこちらから
Dr.Izzy Special Site
http://unison-s-g.com/izzy/

RECOMMEND