2019.09.15

「ランティス祭り2019」

ランティス(音楽レーベル・株式会社バンダイナムコアーツ)

これまで数多くのアニメソングや、ロック色の強いアーティストと作品を輩出してきた、株式会社バンダイナムコアーツの音楽レーベル・ランティス。そんな同レーベルが創立20周年を記念したライブイベント「20th Anniversary Live ランティス祭り 2019 A・R・I・G・A・T・O ANISONG」を行う。このレビューでは、そんな記念すべきライブイベントのロゴがどのように作られていったかという点を紹介していく。普段はあまり知られることのないロゴの成り立ちから、イベントにかける思いを感じ取ってみてほしい。

20th Anniversary Live「ランティス祭り2019 A・R・I・G・A・T・O ANISONG」
■日時:2019年6月21日(金)~6月23日(日)
■場所:幕張メッセ国際展示場 9-11ホール

バンダイナムコアーツの音楽レーベル・ランティスは、これまで数多くのアニメソングやそれを手がけるアーティストを輩出してきた。JAM Project、ALI PROJECT、GRANRODEO、OLDCODEX、緒方恵美、メディアミックス作品「アイドルマスター ミリオンライブ!」や「ラブライブ!」からミリオンスターズやAIKATSU☆STARS!、μ’s、Aqours等々、その人気は日本のみならず海外でも高い。

そんな同レーベルが6月21日〜23日、創立20周年を記念したライブイベント、20th Anniversary Live「ランティス祭り 2019 A・R・I・G・A・T・O ANISONG」を行った。周年イベントとして約5年に1度の周期で行われ、これまで富士急ハイランド・コニファーフォレスト、国内4か所を回るツアーや海外公演が行われ、各所大盛況を博してきた。今年は過去最大規模にて3日間、幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて開催され、大成功を収め、そのロゴをLUCK’A Inc.のデザインチームが手がけた。

このLUCK’A Inc.は、主に音楽関係とアニメ関係のデザインやグッズ、関連物の制作に特化した会社。音楽が得意なデザイナー陣とアニメが得意なデザイナー陣とを擁している。それを統括しているのがディレクターの存在だ。今回のロゴ制作の打診も当初はそのディレクター宛てにあった。

「音楽方面でのデザインやグッズ制作にて、以前からランティスさんとは付き合いや信頼関係がありました。そこから弊社が音楽だけでなく、アニメ関係の仕事もしていることに興味を持っていただいて、同社のアニメ関連のデザインもするようになったんです。今回も、音楽から始まりアニメも共存していることから、ランティス祭りロゴのプレゼンへのエントリーの打診があったんです。それを受け自分からデザイナー陣には、今回は音楽陣/アニメ陣、揃って協力し合い参戦するよう伝えました」(ディレクター)

祭りという漢字とLantisの英文字との上手い共存と、同社のカラーともいえる赤と黒を上手くコンビネーションさせた感のある同ロゴ。ロゴ単体のみならず、実際のステージ上での演出や装飾を交えた時に、どう映るのか? 全体を想像し、映えうるものを提案したというこのプレゼン。実際、このロゴは各ニュースの際のヘッダーや告知、広告の際に多数起用されており、インパクトやアイキャッチ性も大きい。きっと本番のステージや装飾でも遜色なくロゴという存在感やシンボル性をしっかりと与え、残してくれることだろう。

「実際のロゴのプレゼンは弊社以外も数社参戦したようです。で、最終2つに絞られたデザインの双方が弊社がデザインし提案したロゴだったんです。そこで正式に弊社に決定いただき、それぞれのロゴを元に色々とブラッシュアップしていったんです」(ディレクター)

その後、それを具現化させる際に気を付けたのは以下だと言う。


「ランティスさんのファンの特性として、アニメ側から入ってきた方、アーティスト側から入ってきた方がおられて。その双方が共に楽しんでもらえる。そこを目指して作りました。デザイナーもアニメ方面に特化した者、音楽面に特化した者、それぞれ複数のデザイナーで案を持ち寄り提案しました。パターンは複数出しましたが、その中で選ばれたのがこの2案の基になるものでした」(デザイナー)


「ロゴは展開されているところまでを考えて各人デザインしました。世界観やブランディングを中でも意識して。ロゴ単体だけでの見栄えはもちろん、当日会場で起用された際や広告で展開された時にミスマッチにならないように、多方面のアプローチに対応できるよう考えて各人アイデア出しをしました。幅広い方の来場が見込まれているので、分かりやすさと伝わりやすさは特に重視しています。ロゴの背景やそこから派生する世界観等、ロゴデザインのみならずそこから付随するものまでイメージして提案することで一つのストーリーを持たせる事ができました」(デザイナー)

そんな今回のロゴの制作のポイントを尋ねてみると、いわゆる日本の最新鋭のカルチャーであるアニメと、日本人の伝統的な祭り、その上手い融合を目指したという彼ら。


「見た目の視認性やインパクト、ロゴとしてもマークとしても展開のしやすさ。Lantisが祭りを行うならこうだ!という意気込みでデザインを考えました。かっこよさはもちろん、日本の伝統的なものも入れたかったんです。というのもアニソンって、もはや今では日本を代表する文化の一つだと思っていて。そこと日本の伝統的なお祭りと結びつけたかったんです。祭り太鼓で馴染みのある三つ巴の紋からその一部を音符に模し、フェスの臨場感という意味でも太鼓をオマージュしたく、その辺りをミックスしてみました」(デザイナー)

そんな今年の同イベントは、さすがは20周年というエポックな年に最大規模で行うだけあり、出演アーティストたちも豪華だった。JAM Project、ALI PROJECT、GRANRODEO、OLDCODEX、緒方恵美、スフィア、LAZY、鈴村健一、アイドルマスターSideM、Aqours等々、同レーベルを代表するアーティストたちが日毎に出演。臨場感のあるサウンドに乗せ熱唱を繰り広げた。また、SOS団 from 涼宮ハルヒの憂鬱、北宇治カルテット from 響け!ユーフォニアム等、ここでしか見られないユニットにも注目が集まり、各日、大いなる盛り上がりを見せた。

当日は会場内の至るところでこのロゴを目にした。会場内には櫓(やぐら)等の「祭」「和」と結びつけた演出や装飾も多数あり、その辺りも今回のロゴが「祭」「和」を強調していることも含め、かなりのマッチ感を魅せていた。また、特製の「ランティ水」を始め各物販物や配布物はもちろん、各地に設置されたモニターやマッピング等々各箇所でも終始映し出されていたこのロゴ。中でもオープニングムービーや転換時のイントロデュース映像がステージに設置の巨大ビジョンに大きく映し出された際には、それが3D化されたことも手伝い、多くの人の目を惹いていた。

ランティス祭は今後、2019年10月に中国・上海にて開催される「ビリビリワールド2019」に、11月にはアメリカ・ニューヨークにて開催される「Anime NYC」など、国際的なアニメイベントともコラボ出展されていく。その際のロゴも、今回のものをベースに、それぞれのイベント用に新たに制作。これらは日本でのロゴがその風土性をあえてブレンドさせていたものに対して、各イベントのロゴデザインに合わせて新たにアレンジされ制作された。こちらも各国での展開も含め、イベントの成功と共に楽しみだ。

 

ビリビリワールド2019 ランティス祭りロゴ

 

Anime NYC ランティス祭りロゴ

 

東京でのオリンピック開催も間近に控え、これからますます世界各国から、このアニソンやアニメといったジャパンカルチャーがスポットを浴びることになるだろう。これから更にこのカルチャーが世界に羽ばたいていく。今はそれが楽しみでならない。

Text & Photo by LUCKAND編集部

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