2018.09.28

小磯竜也個展「“MATANE” The Japanese Farewell Poster」

小磯竜也(画家、アートディレクター)

ポスターなどの広告物や書籍、店舗空間のデザインなどを手掛ける他、NYLON JAPANにて木村カエラ連載のアートディレクション、Yogee New WavesのツアーTシャツ、永原真夏や大比良瑞希らのCDジャケットを手掛けるなど、様々な媒体でビジュアル制作を行う小磯竜也。そんな小磯が、現代のデザイナーの仕事を絵画的な視点から問い直し、”100年後も色褪せない”ことをテーマに個展「“MATANE” The Japanese Farewell Poster」を原宿トーキョー カルチャートbyビームスにて開催した。そんな本展のレポートをお届けする。

小磯竜也個展「“MATANE” The Japanese Farewell Poster」
■日時:2018年9月21日(金)〜10月3日(水)
■場所:トーキョー カルチャート by ビームス

「今回お見せする”ポスターペインティング”というシリーズで、僕は愛のないもの、こと、ひとにお別れします。騙されたと思って見てほしい。これはポスターではない。これは絵画ではない」

本展に向けて、小磯本人から発信されたメッセージ。SNS時代の今におけるポスターの役割というのは、あくまで販促物に過ぎず、その宣伝的役割が終われば紙くずと化してしまう(こともある)。というか、もはや紙にさえなっておらず、データのまま大半の役割を終えてしまうことだってある。

小磯は作家として作品を描き、そこからデザイナーとしての立場に切り替えて自身で作品をデザイン、アートディレクションしていってポスターをはじめとした広告物やビジュアルを作り上げていく。そんな彼だからこそ痛感する現代におけるポスターの役割を見直し、”100年後も色褪せない”というテーマを掲げた。つまり、現代の”ポスター”という概念ではないポスターをお見せしよう、ということだ。

会場の展示壁には全て、キャンバスの作品が展示されている。その作品にはキャンバスの上に小さいキャンバスが載せられていたり、紙やフィルム、テープなどが切り貼りされていたりと立体的に表現されているものも多い。これもSNS時代にデータで見て終わってしまうビジュアルとの違いを提示する、彼ならではの答えのようだ。

これまで彼の手がけたビジュアルは、色彩のコントラストが強く、インパクトのあるモチーフやオブジェがあしらわれた強烈なイメージを残すものが多かったが、本展では“100年後も色褪せない”、普遍性を含んだ作品になっている印象がある。その点も普段クライアントワークで手がけるビジュアルやポスターとは違い、自身の作品として創作するがために浮かび上がった違いであろう。

会場ではロンTやウインドブレーカー、キャップや作品集などの他に、各20部限定で4種、作品がポスターとして販売されていた。これは、ポスターではない。だが、ポスターなのだ。

Text by LUCKAND
Photo by 小磯竜也

小磯竜也
アートディレクター、作家。1989年、群馬県館林市生まれ。東京都在住。
2013年に東京藝術大学を卒業後、フリーのアートディレクターとして活動を始める。広告物や書籍、服飾や音楽関連のアートワークなどのデザイン及び制作を手掛ける。絵画やインスタレーション作品も多数。
熱海のショップ「論LONESOME寒」の店舗プロデュースも行う。
http://www.littlebeach.net

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http://shop.luckand.jp/
Photo by 清田千裕 / Designed by 小磯竜也

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