2019.10.23

アートワークと音楽が育む付加価値

河島遼太郎(グラフィックデザイナー/アートディレクター) × Rei(Vo&Syn)&Yohey(Ba)from Newspeak

永劫性を擁した独創性溢れるコラージュを主に、これまで音楽関連のジャケットやポスター、フライヤー等のアートワークを多数手掛けてきたグラフィックデザイナー/アートディレクターの河島遼太郎。奥行きと感触観溢れる彼のアートワークの数々は、作品毎にまた新たなアナザーストーリーを派生させ、現物以上の付加価値を与えてくれる。
そんな彼がアートワークのみならず、それ以上に関わりを持つ現状唯一のバンドがこのNewspeak。UK/USインディーへのシンパシーも見受けられる、シンセを擁した4ピースロックバンドだ。彼らの音楽性も、河島の一連の作品同様、各位の解釈を経て聴き手毎に物語を広げ、それを楽しむ類い。その楽曲とアートワークという二者の共生と相乗が、お互いを補完しつつ、合わさった時には足し算どころか掛け算を生みゆく効果にも興味は尽きない。
Newspeakのメンバー曰く、「河島さんはもはや第5のメンバー」と信頼関係も厚いこの二者。そのNewspeakからはRei(Vo&Syn)とYohey(Ba)、そして河島に集ってもらい、その関係値や音楽とアートワークの融合がもたらす効果や相互性を語ってもらい、アーティストとクリエーターとの幸せな出会いと理想を探った。

「もはや河島さんは第5のメンバー。いつかは一緒にステージに立ちたいと思っている」(Yohey)

━最新作のEP「Maybe You’re So Right, Gonna Get My Shotgun/RaDiO sTaTiC」のアートワークはいかがですか?

河島

こっちは最初にメンバーから「やんちゃに遊んでみた楽曲」との話を訊いていたので、曲もアグレッシヴな曲たちだし。それもあって、こちらは前作よりもっと脊髄反射で制作しましたね。アイデア的にも、「最後のモチーフの落としどころをどこにするか…?」を悩んだぐらいで。

━これは鉄条網に何が引っかかっているんですか?

河島

ニケ像です。MVでは歌詞の内容が丁寧に語られていたので全く違った方向に舵を切りました。「勝利の化身であるニケ。それがしがらみに合い、そこから解き放たれる瞬間…」そんなのがいいかなって。歌詞の自分的な解釈として、自身の架せられた鎖を断ち切ると同時に、彼女の束縛している鎖も断ち切れるかもしれない、そこに特化してみました。

━「Maybe You’re So Right, Gonna Get My Shotgun/RaDiO sTaTiC」は、楽曲内容的にも、それぞれこれまではとちょっと違い、新しいフェイズ感がありました。

Rei

この盤はホント実験的で。もっと簡単にすっと入ってもらいたい、そんな気持ちもあり作りました。と言うのも、前作を聴き返した際に、色々な情報や余計なものまで詰め込んでた感がかなりあったんです。そこからもっとシンプルでいいんじゃないの?となり、だったら一回思いっきり外側に両極に振ってみようと。

河島

彼らってものすごく感覚と理性が入り混じった会話を普段すごくメンバー間でもしていて。それが結果、ここに現れている感が私的にはあります。

━分かります。色々とやってみて、一周回り、「やっぱりシンプルにものごとを伝えるのが重要でしょ」と行き着いてのこの楽曲たち的な印象があります。

Yohey

それに近いかもしれません。「シンプルに伝える」というのが題目の根底にありつつも、4人全く違ったタイプのミュージシャンですから、各々がイメージするシンプルをぶつけ合った結果、シンプルなんだけど、それだけじゃないものが生まれたというか。ストレートにいこうとしても、どうしても結果行っていない。その辺りが味も交えて上手く出たかなって。

Rei

ライヴでは映えるし、新しいフックになっていく曲だと自分たちでも感じています。

━今後お互いに望むものがあれば教えて下さい。

Yohey

河島さんにはギターを練習してもらって、いつかは一緒にステージに立ちたいですね。

Rei

自分たち的には第5のメンバーとさえ思っていますが、名実ともにメンバーとして一緒にステージに立って欲しい。

河島

デザインしてカメラマンもやって物販も立って、次は音楽もですか(笑)。

Rei

まっ、メンバーは冗談ですが、今後も今まで通りこの関係性を保っていきたいです。常に新鮮にインスパイアし合いたいし。あと、先ほどの「いつかは河島さん発信のものに逆に自分たちの音楽をつけたい」、これは実現したいです。

Yohey

河島さんはもう、「デザイナー」というメンバーみたいなもんですから。そんなメンバーとしても、いい関係をこれからも築いていきたいし、より強固なものにしていきたいです。

━河島さんからはNewspeakに何かありますか?

河島

いま凄く良好な関係だと自分でも感じていて。僕の活動の領域を更に広げてくれるし。今まではデザインだけだったものも、アーティスト写真を始め、ライヴ等の写真、その写真にしても、これまで物撮りをしたことはあったけど人物は初めてでしたから。これからもお互いで高め合い、インスパイアされ合って共に高みを目指していきたいです。

 

INTERVIEW&TEXT:LUCKAND
PHOTO:西槇太一

河島 遼太郎 Ryotaro Kawashima

アートディレクター/グラフィックデザイナー
埼玉生まれ、筑波大学芸術専門学群出身。2009年よりソニー・ミュージックコミュニケーションズに所属の後、2015年10月よりフリーランスに。音楽ジャケットを中心に広告・グッズ製作などを手がける。
https://ryotarokawashima.com/
 
河島遼太郎 デザインワーク展「Colonial Soundscapes」
■2019年11月8日(金)〜2019年11月20日(水)
OPEN : 11:30 – 20:30(20:00 L.O.)
*11月14日(月)のみ、16:00までの営業
*入場無料(ワンオーダー制)

■場所:LUCKAND-Gallery Cafe&Bar-
http://place.luckand.jp/exhibition/20191108/

 

Newspeak

2016年にリバプールより帰国したRei(The Never Never Club & ex. John Doe Tokyo), Ryoya(ex. go!go!vanillas), Yohey(Curtiss),プロデューサーでもあるSteven(ex. Kando Bando)によって2017年東京で結成された。現在までに会場限定発売を含め3枚のEP、1枚のミニアルバムを発表。2019年11月6日、1stフルアルバム『No Man’s Empire』を発売予定。
 
■Newspeak「No Man’s Empire Tour」ライブスケジュール
11月18日(月)渋谷WWW
12月12日(木)名古屋APOLLO BASE
12月14日(土)岡山 CRAZYMAMA 2nd ROOM
12月15日(日)高松 TOONICE
1月12日(日)金沢 vanvan V4
1月17日(金)京都 KYOTO MUSE
1月19日(日)福岡 Queblick
1月23日(木)仙台 enn 2nd
1月25日(土)札幌 BESSIE HALL

http://newspeak.jp/com/

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