2017.03.18
裏方が居てこそ輝く表舞台
Mrs. GREEN APPLE
今年1月11日発表のニューアルバムと共に現在『MGA MEET YOU TOUR』中の Mrs. GREEN APPLE(以下 : ミセス)。自身の次元を更に引き上げ、幅広い層が共有できるアルバムと共に各地を回る今回のツアーは、初めての人も、よく知る人も、またミセス自身にも素晴らしい音楽体験を寄与してくれるに違いない。モノづくりに強い思いを持つミセスはグッズにもこだわる。ミセスの“想い”にスポットを当てるべく、Tシャツ加工工場を取材の上、インタビューを行った。ミセスは非常に自己プロデュース能力の高いバンドだ。ツアーグッズの制作工程を通して、彼らと職人のこだわりで生まれた特殊加工Tシャツを紐解く。
「イメージを形にしてもらえて、それをみんなが着てくれてる光景を想像するだけで楽しくなっちゃう」(山中綾華)
ミセスへのインタビューにはLUCKAND 公認リポーター兼インタビュアー『ケイシ』に行ってもらった。
−コンニチハ、ケイシです。今回も職人さんのこだわりを発見しました。みんなにも伝えられるように頑張ります。
大森元貴(ボーカル&ギター)
(机に並べられた MGA MEET YOU TOUR グッズを見て)おーっ素敵!
若井滉斗(ギター)
ラバーバンドの完成品は初めて見ました!ちゃんと銀色が入っている。
※取材日はツアー開始3日前
−ラバーバンドは3回試作して、ようやくうまくいったみたいですよ。グッズのMD(マーチャンダイザー:進行管理・制作責任者)も安心してました(笑)。グッズは、みなさんからのイメージやアイディアから具現化されているとのことですが、完成したものを改めて手にしていかがですか?
大森
凄く嬉しいです。自分たちが着たい、身につけたいと思っていたものが具現化できたし、それがファンにも届いて、共有してもらえるのは、やっぱり格別です。実は、その辺りは曲作りにも似ていて。最初は「こんな風にしたいな…」というイメージやアイディアから始まります。イメージを形にして、作品に落とし込み、ライヴで演奏していく行為と凄く似ているんです。僕たち自身も変わり続けているので、グッズ観にしても、デビュー当初からは変わってきているところもあります。変化をグッズから垣間見れることがあるので面白いですね。
髙野清宗(ベース)
毎回グッズのテーマやコンセプトを変えています。「ポップ」がテーマな時もあるし、今回は「グランジ」だったり。そういったテーマがバンドの雰囲気と合致して、具現化されていると思います。
−特に今回はロックバンド色の強いテイストのデザインもありますね。
大森
今まではこういうテイストをあえて避けていました。「ポップでロックなバンドです」を打ち出しをしてましたからね。だけど、ようやくここにきて「ポップさ」というものが自分たちの中でも固まったところがあって。メンバー間で共有できる「自分たちのポップ観」が確立されてきました。なので、ロック方面にフォーカスを当てても、自分たち的には大丈夫だと思えるようになったんです。ようやく今回、その辺りも出せるチャンスかなって。
若井
最近はライヴ会場でも男性のファンが増えてますからね。そんな方にも是非、身につけてもらいたいんです。
藤澤涼架(キーボード)
そうそう。メンズもだけど、年齢関係なく幅広い人たちが身につけられるグッズ作りを以前からしたかったんです。
山中綾華(ドラム)
今回は、材質はもちろん、加工の具合、例えば文字のかすれ具合まで、細かくリクエストさせていただいたんですが、自分たちのアイディアが細かく具現化されたのが凄く嬉しくて。イメージをそのまま形にしてもらえたので、それをみんなが着てくれている光景を想像するだけで楽しくなっちゃいますね。
楽しいライヴができるのは、見えないところで色々な人が支えたり働いてくれているから(藤澤涼架)
−「グランジ」という今回のテーマを象徴したグッズが、ダメージ加工をした、この「MGA Pop Rock T-shirt」ですね。加工前はこんなに濃いネイビーなんですよ。
大森・若井・藤澤・山中・髙野
えーーっ!全然違う!
−正式には「フロスト加工」という加工法です。加工の順番は…
①デザイナーから入稿されたデザインを製版を作成、シルクプリントします。
②お湯が入った「釜」にTシャツを入れます。
③「表面を漂白させるフロスト剤(粒子)」を入れ、徐々に温度を上げながら釜を回して反応させます。
フロスト加工動画
今回の加工を依頼したのは、前回の「染め加工」でもインタビューさせてもらった、職人歴15年の樋口さんです。
大森
いい笑顔~!
若井
優しそう…。
−パンクな容姿とは裏腹に、とても温厚で寡黙な方ですよ。このフロスト加工は、釜から出すタイミングが遅れると色が白くなりすぎるし、逆にためらって早く出しすぎと全然反応していなかったりして、1発で合わせるには経験値が必要なようです。
実際に量産するときはTシャツが500枚は入る大きな釜で、一気に加工しますが、500枚以上生産するときは、1回目と2回目で色がブレないように気をつけるのが大変なんです。
髙野
職人さんの腕にかかってるんですね…。
−最近はデザインやファッションの学生の工場見学が増えているみたいです。ミセスのグッズを制作したことで更に増えるかもしれませんね。Tシャツの加工工程を見ていただきましたが、改めてみなさんのアイディアからMDやデザイナー、職人を通して自分たちのグッズが作られ、ファンのもとに届くことについていかがですか?
大森
とても感謝しています。何をするにも、見えないところでの作業が全てだと常々思っていて。
若井
自分たちの音楽や制作活動自体がそういうところがあるもんね。
藤澤
ライヴとかもまさしくそう。ステージに立っているのは自分たちだけど、その日、お客さんと楽しいライヴができるのは、見えないところで色々な人が支えたり働いてくれているからですから。
大森
こういったキラキラしたものが、そのキラキラ度を増すのって、表舞台からは見えない方々によるものだと常々思っています。そういった部分ではグッズを作ってもらっている方々にも感謝していて。ほんとにありがたいことです。
−裏方のみんなに伝えておきます!こんな風に想ってくれているなんて…今後ミセスのためにより張り切っちゃうんじゃないかな(笑)
<NEXT 2/3>曲が出揃う前にジャケットのイメージを先に作っちゃうんです(大森元貴)