2016.11.22

映画監督が作るミュージックビデオ

シミズコウヘイ(カラスは真っ白)×朝倉加葉子(映画監督)

グルーヴィーでファンキーな新世代ポップバンド、カラスは真っ白の「魔法陣より愛を込めて」(9月21日発売ニューアルバム『バックトゥザフューチャー』収録)は、バンドのキーマンとして注目を浴びるシミズコウヘイが詞曲を手掛けたキラキラのラブソング。これまでカラスは真っ白のミュージックビデオ(MV)といえばアニメーションが主流だったが、直球で「愛」と「恋」を投げ込んだこの曲は、ストーリー仕立ての実写ものとなっている。このMVを担ったのはアメリカ撮影のホラー映画『クソすばらしいこの世界』で頭角を現した朝倉加葉子監督。2人の才能がいかに「共創」しあい、ラブストーリーとホラーを軸に、ミュージカルも盛り込んだMVが完成を迎えたのか。その過程とともに、本人の日常などにも迫る。

「ダンスは恋心を表すため(朝倉加葉子)」

—「魔法陣より愛を込めて」のMVは、お化けの女の子が高校に紛れ込んで、男の子に恋をするストーリー。恋するドキドキ感が高まるとポルターガイスト現象が起きたり、お化けの女の子が楽しそうに踊っていたりという演出が見られます。また、奇妙な違和感をかもす現実性との距離感もあります。まず、シミズさんが朝倉さんにリクエストしたことは?

シミズ

ストレートなラブソングがなかったことです。でも、ステージに立つ人間として、「好き」という直接的な言葉で、しっかりと愛を伝えることが必要だと思うようになったんです。だから、「愛」「恋」「好き」という単語を歌詞に入れました。

—異世界の者との接触ということですね。

シミズ

そうですね。異世界、異物。普通だったら愛せないことも実現できるラブストーリーを描きたかったんです。

—異続いて撮影現場の様子について聞かせてください。ロケーションとキャストは朝倉さんが選んだんですか。

朝倉

はい。撮影は(東京の)立川市にある学校で行いました。主人公のお化けの女の子を演じている三浦透子さんは、踊れる女の子ということで出てもらうことにしました。

—三浦さんは元気&チャーミングですよね。

朝倉

雰囲気が素晴らしくて、三浦さんのキャラクターに頼って撮影すれば大丈夫だという気持ちでしたね。

シミズ

三浦さんはびっくりするくらいかわいい瞬間がありますよね。“え、そんな表情をするんですか?”っていう。

朝倉

わかります。

—このMVにはメンバーが登場しませんが、シミズさんは撮影現場にはいたんですか。

シミズ

はい。メンバーと一緒に。エキストラさんやスタッフの方がいっぱいいて、ずっと「すげえ!」って盛り上がりました。

朝倉

メンバー4人がずっと学校で遊んでいるんですよ。渡り廊下を歩いたりしながら。それを遠くで見て”ああ、いいなあ…”って。楽しく撮影できましたね。

シミズ

邪魔してすみませんでした(笑)。

朝倉

いえいえ(笑)。お化けの女の子が楽しく踊るというコンセプトと、皆さんの雰囲気がすごく近い感じで、よかったです。

シミズ

撮影現場にはピリピリした空気がなくて、”最高!”って感じで楽しかった。僕らが『バックトゥザフューチャー』のレコーディングした時と近い空気感だったので、僕も幸せな気持ちになりました。

—このMVでは三浦さんも楽しそう踊っていますが、何故、ダンスの要素を取り込んだんですか。

朝倉

恋心の高まりを見せるには踊りがふさわしいと思ったからです。MVはサイレント映画を作るようなもの。セリフはないし、字幕でストーリーを説明するのは曲の邪魔になるのでやりたくない。どう動きと映像で物語を見せるかと考えたら、ダンスがわかりやすくてよかったんです。

<NEXT 3/4>「僕はフィクションが好きなんです」(シミズコウヘイ)
「フィクションを見ている間のストーリーは現実」(朝倉加葉子)

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