2018.12.14

とけたアイスの味は青かった

みきなつみ



Creative Direction : 加藤晴久(LUCK’A Inc.)
Art Direction&Design : 樋口敬太、柳田成美(LUCKON GRAPHICS)
Photography : 垂水佳菜

今年3月にリリースされたミニアルバムでのデザインをあえてシリーズ化されて落とし込んだ今回のデザイン。コンセプト的には、みき自身が提案。「青春真っただ中にいる人はなかなかその渦中にいることが実感できず、一方既に過ぎ去った人も、実はまだ青春中であるかもしれないのに、なかなかそれに気づかない」を基にデザインに落とし込んだという。
撮影場所は後述MV同様、みきの母校にて撮られた。青春時代=高校時代=母校という設定だ。
前作はメロンソーダをモチーフに緑が持ちこまれたが今回は青。ソーダ味のアイスバーをしっかりと持っている。写真はインスタ独特のリア充さを醸し出す為に、あえてそれ風の粗い画像のものを使用。それに伴いブックレットの紙も敢えてナチュラルなものが選ばれている。タイトルやアーティスト名は、フォントながらあえて手書き風にし、並び方も若干ちぐはぐながらも、人間っぽい温かさを醸し出している。全体的に青春の淡さを全面に出したコンセブチャルさも見逃さないで欲しい。

みきなつみが他の女性シンガーソングライターと違うところは、偶然か必然か、どこか後ノリにスウェイさせているリズム感だったりする。そこがフォーキーさの現代版としてヒップホップ世代にもコミットできる部分も有していたりしていて。爽快感や清涼性、ストレートな歌を伝える他の女性シンガーソングライターたちと一線を画している感がある。その特性を隠し味に、より多角ながら、彼女な良質な部分が歌声やサウンドに頼らずに表れた感のあるのが、この彼女の2ndミニアルバムだ。

前作よりわずか8か月という短いインターバルでリリースされた今作は、前作で感じられたアイデンティティや主張に対し、より相手や愛しさが前面に現れた感がある。それも前作から今作までの間に行われた、全都道府県をライヴしに回り、それらを経て得た、伝える、届かず、響かせることの大切さが上手く作用しているようにも感じられる。ますます彼女の今後の伸びしろが楽しみにさせてくれる1枚だ。

みきなつみ「ボクらの叫び 」

 
ジャケットとも連動性を見せている同MV。撮影場所はどちらも本人の出身高校である埼玉県立大宮南高等学校だ。教室や校庭、学校中の様々な箇所を使い撮影された同MVは、アコギを持った各箇所での演奏場面やそこに校内で張り出されたり、映し出されるリリックも特徴的且つ印象深い。あえて明度をアップさせた映像の中、秘めたエモさと、飛び出していくかのような勢いを感じる、まるで彼女のこれからのポテンシャルを感じさせる同曲。一見ノスタルジーを想起させながらも、逆に自分はここから始まった、そんな出自や立脚場所を再確認させるような、ここから行くゾとの覚悟と決意も感じさせる1本となっている。

TEXT : LUCKAND編集部

みきなつみ HP

http://mikinatsumi.com

みきなつみ

『とけたアイスの味は青かった』

FOCD-0050
¥1.852(+tax)
【cocoon nuts】

2018年11月7日 発売

1.明日も私はワタシだし
2.ボクらの叫び
3.セブンティーンアイス
4.ごめんねって言ったら許してくれるかな
5.シャイニーガール
6.またね
7. ラストラブレター

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