Art Direction : 菊池久志(Eight Pictures inc. )
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命の炎ともともしびとも捉えられるかがり火と上空にうっすらと移る半月が印象的な今回のジャケット。アートワークを担ったのは菊池久志(Eight Pictures inc.)。安室奈美恵、[Alexandros]、アヴリル・ラヴィーンのMVやTOYOTA、SUZUKI、FacebookのCM等々、数多の国内外のＣＭやミュージックビデオなどの演出を手がけてきた、グラフィカル・ストーリー性のある映像演出を得意とする映像ディレクターだ。

このかがり火は、今回の一連のビジュアル面に於いてかなり重要な役割を担っており、MVともリンクを見せている。無人の浜辺でごうごうと燃えるその炎はまるで生命の謳歌や燃え尽きる刹那を描き、逆にバックインレイ側では、それが燃える前/日が点く前を捉えており、そのシンメトリーさが自身の姿とリンクしているようにも見えなくもない。

この盤の「Hikari」には2タイプを収録。M-1.「Hikari」の方は従来のバンド然とした形態とは違い、ピアノとストリングスを中心としたアレンジが印象的なナンバー。シンプルながらドラマティックなアレンジも特徴的だ。包まれるかのような、とても柔らかく暖かい伝え方も耳を奪い、その上、“僕が連れて行くから!!”と言わんばかりのぐいっと抱き寄せる力強さも内包している。

また、M-2,の「Hikari(Piano ver.)」は、それよりもさらにシンプル。歌と鍵盤をメインに、ストリングスを忍ばせ、よりしっとりと90秒という時間にて伝えている。とは言え、けっして、オリジナル・バージョンのダイジェスト的には感じられず、これはこれで単独作品として成立しているのも興味深い。どちらも同じ旋律とリリックながら、その伝達方法やアレンジ、歌唱で全く違ったように響く2曲だ。

シンプルな楽曲ながら、実は非常に丁寧な作りで、音も練られ何層もの音を敷くことよって、あえて主メロを引き出し、全体的に優しく柔らかく、それでいてしっかりとした存在感を醸し出しているのも特徴と言える。

androp「Hikari」

ジャケットのかがり火とも一部リンクを見せる同曲のMV。こちらもジャケットやアーティスト写真同様、フィルムディレクターの菊地久志(Eight Pictures inc.)が手掛けたもの。夏の甘酸っぱさやどこか刹那な感じを重点に、断片的な映像ながら非常に物語を感じさせてくれる。

淡くさりげない日常、その中のほのかな幸せ。しかし確実に光へと向かっている我々。様々な時間の色々なタイプの光が収まっている今作からは、一日の中には実は様々な光の中、私たちは生きていることを改めて実感させてくれるかのような映像作品でもある。

時折、かがり火の前、夜の浜辺にてandropのアコースティック演奏場面がインサートされているのだが、それが愛しい人の海からの帰りを信じて待つようにも映る(古来海岸のかがり火は灯台のように帰ってくる場所の道しるべの意味も持つ)。
こちらはリリックビデオになっているので、是非その文字を追いながら聴いて欲しい。きっと、耳だけではない、また新しい愛しさが込み上げてくるはずだから。

TEXT ： LUCKAND編集部