Direction / illustration : 雫
Photograph : 高田梓

今作もジャケットデザイン/イラストを手がけたのはポルカドットスティングレイの中心人物でありながら、アートワーク全般を手掛ける雫（Vo,G）。中村佑介が描いたASIAN KUNG-FU GENERATIONの『ソルファ』も彷彿させるファンタジックな構図で、女の子の他にバナナやセグウェイ、ラブレター、トマトや黄色いスニーカーなどが描かれている。これらは「ICHIDAIJI」のMVに出てくるアイテムなので、そちらも是非チェックしてもらいたい。

前作『全知全能』では青いドライヤーをメインアイテムとし、MVやアーティスト写真と連動させていたが、今作はバナナがメインアイテム。（勿論アーティスト写真にもバナナが登場）ジャケット中面、歌詞のフォントサイズやレイアウトはやはりプロのデザイナーではチョイスしないだろうが、これぞポルカの持ち味！フォトグラファーは橋本塁に師事し、BIGMAMAやSPECIAL OTHERSなど多くのアーティストのライヴ写真を手がける 高田梓が担当。
バナナのジャケットと言えば、The Velvet Underground and Nicoを思い出す人もいるだろうが、今年の夏はきっと雫によって描かれたバナナの絵のTシャツを着た若者がフェスに溢れるだろう。

前作『全知全能』のリリースから約半年を経てリリースとなるのは、少女コミック誌「なかよし」にて熱狂的な人気を博し実写映画化される「わたしに××しなさい！」（遠山えま 講談社）への書き下ろし主題歌「ICHIDAIJI」を収録したミニアルバム。バンドにとって映画主題歌書き下ろしは初の試み。今回は収録曲全てが新曲という荒業。スケジュール的にもかなりタイトだったらしいが、そこでクオリティを落とすようなバンドではない。M-5「ICHIDAIJI」の間奏、「今どきこんなギターソロを鳴らす人がいるのか！？」と、思わず笑みさえ出てしまうギターソロは、ポルカを知らない人にも是非聴いてもらいたい。追記するとポルカはメンバー全てが高い演奏力を持つモンスターバンドなのだ。そしてマーケティングの鬼である雫はSNSから歌詞のアイデアを見出していたり、M-3「リスミー」ではキーボーディストの高野勲氏を迎え、シティ・ポップ性もしっかりと表している。今作もヘビロテ間違いなしのミニアルバムが完成した。

ポルカドットスティングレイ「ICHIDAIJI」

Director : スミス
Scenario : 雫

04 Limited Sazabys「My HERO」や、ビッケブランカ「ウララ」のMVも手がける映像作家のスミスがディレクターを担当。雫によるシナリオではウエムラユウキ（Ba）のゴリラキャラの打ち出しなど、メンバーのキャラクター性をうまく生かしている他、お笑いコンビ流れ星も出演。色々なシチュエーションがコミカルなタッチで描かれている。曲が終わった後のオチにも注目。

TEXT ： 秋山雅美