2018.05.24

君のために生きていくね

踊ってばかりの国

Jacket design : 林 未来(G+)
Photo : Mike

アネモネのポルトダブルだろうか。天を仰ぐ青紫花の雄しべと雌しべは枯れる前特有の凛とした姿で佇んでいる。背景色をウイスタリアにしたことで静寂の中心にいる花の存在感がより際立つ。

ジャケットデザインは林未来、写真はMikeが担当。
この音源をまだ手に取っていない人は是非CDで購入して欲しい。ハードカバーのデジトレイ紙ジャケに対して中面の歌詞はクラフト紙を使用。他愛ないことかもしれないが、絵本や短編詩集が如く異なる質感の面白さは実際に触れた者のみ感じられるちょっとした楽しさだ。エンボス加工のタイトルもWEBで見るより遥かに繊細であり、薄グレーの地に限りなく小さく表記された白文字の盤面も美しい。CDを取り出すと、トレイ下に印刷されたメンバー写真は鮮やかに存在。曲を聴きながら歌詞カードをめくると今度は一人一人1Cでじっと息を潜めている。約110mmの厚みに詰まった曲の世界は飾りたくなるほど美しく特別に思えた。

 

2015年にオリジナルメンバーの佐藤謙介(Dr)が脱退。その翌年、オリジナルメンバー林宏敏 (G)も脱退。それでも下津光史(Vo,G)は 谷山竜志(Ba)と共に「踊ってばかりの国」というバンド名を守り続けた。その後、坂本タイキ(Dr/THE★米騒動)と丸山康太(G/元ドレスコーズ)が加入。昨年新たに加入した大久保仁(G)を加え、5人編成で3年ぶりのニューアルバム『君のために生きていくね』をリリース。更に言えばこの編成になってからは初の全国発売音源。ライブでも披露されている「Boy」や、会場限定CDに収録された「evergreen」「ジョン・ケイル」、未発表曲などを含め全16曲を収録。アルバムタイトルの意味が要約されていると言っても過言ではない「プロテストソング」の冒頭、下津のアカペラは鳥肌が立つ。Devendra Banhartやはっぴいえんどなどが好きな人は、何かしらアンテナに触れるはずだ。シーンに媚びない踊ってばかりの国の第二期とも言える今作は聴き応えアリ!

現在「2018年、春のレコ発ツアー」真っ只中。6月15日(金)渋谷CLUB QUATTROにてファイナルを迎える。

踊ってばかりの国「Boy」

撮影 / 編集 / 監督:浅井一仁

JET SET TOKYOで『君のために生きていくね』を万引き。下北沢を猛ダッシュで逃走したかと思えば空き巣に入って現金強奪。しょっぱなから衝撃的な内容で既にMVのコメントは賛否両論、ざわめいている。どついたるねん、BiS、ドレスコーズ、古川麦など数多くのMVや映像作品を手掛ける 浅井一仁が撮影、編集、監督の全てを担当。道徳的見解はともかく、ダンサー山田葵の動きは下津の歌声を体現しているように思えた。バンドシーンを交えた長いエンディングで踊りまくる高校生4人の刹那的な姿と歪むギター、ショートムービーのようなエンドロールは切なく甘酸っぱい。

TEXT : 秋山雅美

踊ってばかりの国 OFFICIAL SITE

http://odottebakarinokuni.com/

ニューアルバム

「君のために生きていくね」

TKMH-1010
¥3000(+tax)

2018年4月18日 発売

購入はこちら

01. Boy
02. メロディ
03. evergreen
04. サイクリングロード
05. 自由を頂戴
06. Surfer song
07. in the day
08. バーニングタイム
09. シャクナゲ
10. 五月雨
11. 青春
12. No ESPer
13. ジョン・ケイル
14. Night on the planet
15. プロテストソング
16. 美しい春(Bonus track)

LIVE

踊ってばかりの国「2018年、春のレコ発ツアー」
6月7日(木)愛知県 Tokuzo
6月8日(金)大阪府 FANDANGO
6月15日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
※上記すべてワンマンライヴ

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