2017.10.31

熱唱サマー

赤い公園

Art Direction & Design : 木村豊(Central67)
Photographer : 岩澤高雄(The VOICE MANAGEMEN)
Model : 小川聖央

音楽界で木村豊を知らない人はいないだろう。 椎名林檎、スピッツ、ASIAN KUNG-FU GENERATION……その他数多くのCDジャケットデザインを手掛け、そのどれもが見た人に鮮烈な印象を与える。今作も景気良くプールに飛び込む女の子の足でインパクトを与えたジャケットケースを外すと、厚めのグロスPP加工された表面にバンド名が抜かれており「赤」部分に、赤い水泳帽を配置。表1と表4でPP加工とマット地を使い分けるなど心憎い。(特に表4ではその違いを感じ取れる)どれもが木村のこだわりと遊び心だ。


バックインレイ、日本家屋で涼むメンバーが見つめる先にはビート板が浮かぶプール。こんな奇想天外な設定も然り。更にフォトグラファー岩澤高雄のレンズは、飛び込む無防備な足裏のユニークさや、帽子を脱ぎ監視員の椅子に座る少女の後ろ姿、バックインレイのメンバー写真でそれぞれ違う質感を生み出している。


ところで『熱唱サマー』というタイトルはいつ付けたのだろう?七月に佐藤千明(Vo)が脱退発表。結果的に佐藤がヴォーカルを務めるラストアルバムとなってしまったが、このタイトルしか考えつかない程、熱唱しているしサマーしている!すべて<夏のせい>と言ってしまいたくなる位、夏が詰まった全12曲。「カメレオン」のイントロ、ダブルストロークはまるで夏休み初日のように胸躍る。和のテイストは蔦谷好位置プロデュースの「闇夜に提灯」で加速し、亀田誠治プロデュースの「プラチナ」と「恋と嘘」は、胸が疼く程切なく甘い。しかし「ほら」には注意が必要だ。 新しい彼女達の未来を想像しながら聴いてしまうと号泣からは免れなくなる。佐藤脱退から来るカタルシスは否めないが、それとは別に夏の終わりに誰しもが感じる切なさが、残像のように心を支配する。しかし治りかけのかさぶたをつい剥いでしまうように、何度もその切なさを味わいたくなるだろう。

赤い公園「恋と嘘」

 

Director : 大野敏嗣
Producer : 島崎稔也
Pruduction : COLORS
Cast : 伊藤沙莉

MVや映画を手掛けるCOLORSから大野敏嗣と島崎稔也がタッグを組み、伊藤沙莉のあどけない表情やほころぶ笑顔、鏡の前で何着も服を合わせる仕草など、8mm的映像を交えリアルと俯瞰で押さえている。物が雑然と置かれている机、マスカラを塗りながらスマホをチェックする指先はある種、女子のリアルそのものだろう。嬉しそうに曲を口ずさみ、好きな人からの連絡に一喜一憂する伊藤に加え、メンバーのさりげない表情も見どころのひとつ。

TEXT:秋山 昌未

赤い公園

http://akaiko-en.com/

New Album

『熱唱サマー』

初回限定盤(CD+DVD)
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UNIVERSAL J
2017年08月23日(水)Release

01.カメレオン
02.闇夜に提灯
03.AUN
04.最後の花
05.ジョーカー
06.プラチナ
07.恋と嘘
08.セミロング
09.BEAR
10.ほら
11.journey
12.勇敢なこども

初回限定DVD収録
・「闇夜に提灯」MUSIC VIDEO
・「恋と嘘」MUSIC VIDEO
・「journey」MUSIC VIDEO
・赤い公園ドキュメンタリー映像「情熱公園」

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