2017.07.04

対話から創られる奇跡

KYOTARO(アーティスト)

今号の紙面裏メインビジュアルを制作したKYOTARO。先日DIESEL ART GALLERYにて、実に7年ぶりとなる大型個展『Clad in the Universe -宇宙を纏う』を行い、大成功させたアーティストだ。彼女の鉛筆画が織りなす、緻密な描き込みと濃淡で描き出される絵画は、観る者を一瞬にして惹き込み、片やペインティングは衝動やダイナミックさが全面に放たれ、一気に圧倒する。この度の個展でもその正反対の作風が共存し、独特なエネルギーが生み出されていたが、改めてその本質を探るべく、インタビューを行った。
描く前にクライアントと「対話」し、相手が欲するものと自分の個性を融合させることで最良を導き出し、描くという彼女。自身に合うスタイルと出会い、様々な共創により開花されていったそのオリジナリティについて訊いた。

「アーティスト、ディレクターの思いを具現化する」

━今回はLUCKAND編集長からFree Magazine #003のメインビジュアルの依頼をさせて頂きましたが、そもそも編集長との出会いは?

LUCKAND Free Magazine #003 裏面メインビジュアル

KYOTARO

RADWIMPS のライヴ会場でした。2013年ですね。永戸さん(永戸鉄也=RADWIMPS の作品やグッズ等のアートディレクター)の紹介でした。

━編集長はお名前から、てっきり男性の方だと思っていたらしく。実際にお逢いした際には、とても驚いたそうです(笑)。

KYOTARO

(笑)。私の RADWIMPS に際する絵をグッズにしていただいた経緯が最初の出会いだったんですが、その後、 個展にも来て下さったんです。

━実際に自身の絵がグッズ類に落とし込まれていかがでした?

KYOTARO

嬉しかったですね。中でも、まさかタオルに落とし込まれるとは想像もしてなかったので、その現物を見た時には驚きました。あのふかふかなものの上に自分の絵が乗り、しかもここまで緻密に再現できるんだと感激しました。

━再現にはかなり苦労したそうです。写真製版技術を使った工場に依頼したとか。

KYOTARO

美しかったです。私、自分の作品がグッズや商品、その他のプロダクトに展開されていくのがかなり好きで。製品になって感動することは多いです。また、みなさんの手に渡り、更に広がっていくことにも感動します。

━KYOTARO さんは、RADWIMPS のシングル「ドリーマーズ・ハイ」や「五月の蝿 / ラストバージン」のジャケット、アルバム『×と○と罪と』のブックレット内の絵画も手掛けておられますが、それはどのような経緯で?

KYOTARO

これも永戸さん経由なんです。永戸さんの夢に私の名前が出てきたみたいで(笑)。そこからまずはメンバーに私の作品集を見てもらったんです。その場で、「一緒にやってみましょう!!」と。

━どのような感じで作業は進めていったんですか?

KYOTARO

元々永戸さんは、私のその人が持っているイメージを具現化できるところを気に入って下さっていて。それもあって(野田) 洋次郎さんの話を聞いて、そのイメージに合うであろうものを提案していった感じです。「五月の蠅」に関しては、洋次郎さんの中でパッと唇男が浮かんだらしく。「大きな唇と同体。頭は唇だけ。そこからドロドロと液体が出ている」、そんなイメージを本人から伝えてもらって。そのイメージを基に具現化していったんです。で、実際はこれ、ラフのコピーが元なんですよね。お二人ともラフ画に力を感じたみたいで、これで行こう、と指示されて、そのラフ画から仕上げた作業でした。

━「ラストバージン」の方は?

KYOTARO

こちらは男女が交り合っているイメージを伝えられました。色も「こちらは青で」みたいな。なので、存在的には洋次郎さんや永戸さんの言霊を具現化するイタコのような立場でした(笑)。


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