2021.08.04

『自由に生きるのが一番いい』10年間で掴んだ自分の道

森俊博(イラストレーター/アートディレクター)

モーモールルギャバンやGOOD ON THE REELなどのアートワーク、FUDGEやヴィレッジバンガードなどのプレスイラスト、ショッピングモールのウィンドウや広告に至るまで、多彩な活動を展開する森俊博。
今号の発刊にあたりメインビジュアルポスターを描き下ろしてくれた森俊博は、このたび活動10周年を迎える。
スタイリッシュかつ有機的な世界観を構築している森俊博だが、これまでのスタンスでみえてきた自身のブランディングやポリシー、今号のメインビジュアルにかける想いとは。
今までの作品への姿勢から、現在の心境、未来の展望までを語った。

「いろいろな経験をしたうえで、広がった選択肢から選んでいけるのが理想的」

―お話を聞いていると、すごく緻密に未来設計されてますよね。

「30歳までに、やりたいことを全部やらないと」って思っていました。自分の立ち位置を決めたいというか…。ひとりでやること自体とても不安定なので、クライアントとの距離やデザインとイラストの比率など、いろんなバランスをある程度定めておきたかったんです。そうして20代を必死で駆け抜けた結果、30歳になって1年間くらい全く絵が描けなかったんですけどね(笑)。

―それは何故ですか。

自分の中では29歳で死ぬくらいのつもりで「いくら稼ぐ」や「こういう仕事をする」みたいな小さい目標を決めて、それをひとつづつクリアしていくような生き方をしていました。そうしたらいざ30歳になったら、何もやりたくなくなっちゃったんです。ずっとやっていた個展も出来なくて、作品やグッズも一切作らなかった。絵を描くのも、あまり楽しくなかった時期ですね。

―その状況から、どうやって持ち直したんですか。

デザインの仕事を増やしてイラストのクライアントワークを絞りました。絵を自分が描きたいものを描く方に寄せたんです。楽しくなっていったのは、そこからですね。近年は興味がある国に旅行へ行って、行ったところで見たものや感じたことを描くことをしています。誰かのための絵ではなく、自分を発信することを強めていきたいです。

―海外での生活も視野にいれているんですか。

学生の頃から生い立ちや思想などを含めて、自分がすごく平凡だと感じているんです。アートはコンセプトやコンテキスト(※4)、ストーリーがあるべきだと思うけど、僕はそれがすごく希薄。長く作家を続けていく上で自分自身のストーリーをもっと濃くしていくには?という一つの選択肢で海外移住もありかな、と。いまはコロナ禍なので難しいですが。

―7月30日に発売される『森 俊博 作品集 TEN』は、まさしくその10年間の集大成ですよね。作品集を出すことは、いつ頃から決めていたんですか。

割と初期の個展で「10年活動したら作品集出すよ」とあまり深く考えずにお客さんに話していました。そしたら9年目くらいで、よくしていただいてる出版社さんから「一緒に作ろうよ」ってお話をいただいて、ちょうど10年目を迎える今年に出版できることに。話が綺麗に出来すぎていて、怖いくらい(笑)。

―合わせて行われる個展『Q』では、作品集に収録されているものが展示されるんですか。

勿論その作品も展示しています。ただせっかくなのでそれだけではなくて、アナログの原画作品や、リソを使った作品も新たに作っています。
ただプリントするだけだとSNSで見ているのと変わらないし、どうせなら生でしか見られないものにしようかなって。2階建てのギャラリーで開催するので、1階はイラスト展示、2階は絵の展示みたいにしようと思っています。今回の個展は“いまの自分のスタイルをどう表現するか”を大切にしました。

―では最後に、今の若いクリエイターに向けてメッセージをいただけますか。

「好きなことをしていても生きていけるよ」って、僕は伝えたい。学校にいるとやっぱり就職することが最善みたいに教えられるけど、必ずしもそれでしか生きられないわけじゃないから。時代もトレンドも変わっていくから、それに合わせて生き方も変わっていく。ひとそれぞれに合ったかたちで生きていく方法は絶対にあります。
僕は、そうやってまんまと生きてこれたので(笑)。

―あまり重く考えすぎず、飛びこんでみなさいよと。

というか、決めつけるのがよくないと思うんです。「これは無理」とか「こうしたほうがいい」って経験値として語るのはいいけど、その人によって適した生き方は違うじゃないですか。いろいろな経験をしたうえで、広がった選択肢から選んでいけるのが理想的だと思うので。僕を通して「こういう生き方もあるんだな」って、なんとなく思ってもらえたら嬉しいですね。

※1:日本のスリーピースロックバンド。
※2:日本のイラストレーター。「ASIAN KUNG-FU GENERATION」をはじめ「謎解きはディナーのあとで」、「夜は短し歩けよ乙女」など数多くの書籍カバーなども手がける。
※3:三栄書房が月刊発行しているファッション情報誌
※4:「脈絡」、「状況」、「前後関係」、「背景」などの意

 

愛用品

香水

ここ数年で一番お気に入りの香水です。
いい匂いを纏うと自分自身の気持ちもあがります。
好きな人とか好きな場所、大切な思い出は匂いも残っていたりするじゃないですか。
自分も誰かのそういう良い記憶に残ればいいなと思います。

SPECIAL THANKS : ぽえむ高円寺南口店

INTERVIEW:カトーハルヒサ
TEXT:坂井彩花
PHOTO:カーラ

森 俊博 Toshihiro Mori

イラストレーター/アートディレクター
アナログな線画とグラフィカルな要素を組み合わせ、スタイリッシュでありながら人間味を感じさせる独自の世界観を構築。様々なデザイン、アートワークをてがける
https://www.motograph.net
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活動10周年作品集「TEN」発売記念 森俊博個展「Q」
詳細ページ
東京
■2021年8月7日(土) 〜 8月15日(日)
OPEN : 11:00 ― 20:00
*8月15日(日)のみ、16:00まで
*入場無料
■場所:GALLERY33 NORTH 1F / 2F

大阪
■2021年 9月18日(土) 〜 9月26日(日)
OPEN : 11:00 ― 20:00
*9月26日(日)のみ、16:00まで
*入場無料
■場所:WB gallery

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