2019.01.23

バンドのグッズも表現の一つ

福永浩平(雨のパレード・ミュージシャン)

音楽作品に意識的なバンドであれば、グッズにもその美学を宿すだろうし、ファンもそれを求めるだろう。雨のパレードは楽曲ごとのTシャツ、その名も「Tracks T-Shirts」を作っている。と同時にバンドの世界観を細部にまで散りばめたアイテムも展開している。そのハイエンドライン「REGENLUFT」を福永が紐解く。

「自分たちにグループの名前がつくものは全てこだわりたい」

ーまず、福永さんのアーティストとしての自分を形成している美意識の源について聞かせてください。

福永浩平(以下、福永)

元々物作りが好きで、幼い頃から何かを作るのが好きでした。バンドを始めてみて、前のバンドを地元でやってた時も、アートワークは自分たちで作るし、グッズは自分たちで業者を調べて作っていたんですね。なので、自然とその流れで今のバンドでも口を出したいって思っちゃうし、やっぱり自分たちのグループの名前がつくものには全てこだわりたいなと思っていて。僕らの名前でダサいものを出されたら嫌だなと思っちゃうタイプなんで。あと、他の人がやってないことをしたいなっていうのは全てにおいて思ったりするんですけど、グッズでもそう思ってて。「これバンドグッズでないだろう」っていうのは作りたいなぁと思いつつ、いろいろ挑戦してますね。

ー福永さんに影響を与えてるアーティストなり、写真のテイストはありますか? ちなみに福永さんのインスタはほぼモノクロですよね。

福永

(笑)。モノクロ写真好きなんですよね。モノクロ写真で言ったら、アイゼンシュタット、あとはモノクロじゃないですけど、初期のビビアン・サステンとかもすごい好きだったりします。

ーアートワークと音楽の関係で言えば?

福永

作品に寄っちゃうかもしれないけど、ボン・イヴェールの3年前くらいに出た「22,A Millon」てアルバムはすごく好きだったし。時代性なんですかね。僕は新譜を聴くことが大好きだし、アートワークも時代性があると思っているので、そういう時代性を感じるものが好きですね。違和感を感じるアートワークで好きな人もいますね。名前忘れちゃったんですけど、コペンハーゲンのアートディレクターの人で。僕、鉱物が好きなんで、鉱物とコピー機が一緒に写っていてシュルレアリスムみたいな感じになってるのとかもすごい好きですね。

ーアートワークもこだわって、ライブの演出も独自な理論で来てる雨パレですけど、そこからこの「R E G E N L U F T」っていう通常のグッズとは一線違うラインをロゴも少し変えて出して。これを出して行こうと思った理由とこれをどう成長させていこうとしていますか?

福永

順を追って話して行くと、2015年のインディーズ時代に渋谷のO-nestで「漂白する都市」っていう自主企画を開催したんですけど、nestってフロアが2階に分かれてるじゃないですか。上の階は無地の白い布で覆って。で、ライブを見て僕らに染まって帰るみたいな趣旨だったので、みんなが下の階でライブを見て上の階に戻るとその白い布に全部色が塗られてるみたいな演出にしてて。

ーコンセプチュアルですね。

福永

そういうことをやってたんですけど、バンドの規模感が少し大きくなって、自分たちの手でできていたことができづらくなってしまって。ちょっと大きくなってしまったが故に何をしたらいいのかちょっと模索中というのもあったりして、グッズもそうだなと思ってたんです。単純に数が捌けるものを作っていくっていうのと、こだわってやってみたいことをやるところに乖離を感じ始めて、「R E G E N L U F T」は、本気で「これはバンドグッズで誰もやらないだろう」とか、「自分で使いたい」みたいなことをやる上で名前が二つになったって感じですかね。だからほんとにこだわって、ゼロから作ると当然、値段がちょっと上がってしまうし。だとしたらハイエンドラインとして通常ラインのグッズとゼロから作ってるグッズに分けようと思ったのがきっかけですね。

<NEXT 2/2>「バンドの第二章とリンクする部分を『色』でも表したい」

 

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