2017.11.08

口約束から生まれた10年目のコラボ

国井栄之(mita sneakers クリエイティブディレクター) × 植野隆充(CLUCT 代表)

今や日本を代表するスニーカーショップとして、国内外から圧倒的な支持を集めるmita sneakers。そのディレクションを担う国井栄之と、「ベーシック+α」をコンセプトにクラシカルなアメカジにアレンジを加えたオーセンティックウエアを作り出すブランドCLUCTの代表である植野隆充。公私に渡って親交の厚いこのふたりが、植野率いるCLUCTの10周年記念コラボレーション・プロジェクトのラストを飾るべく挑んだのが、「日本らしさ」と「アメリカンテイスト」というブランドのアイデンティティーを体現したスニーカー制作。そこに至る経緯から完成までの道のりを追いつつ、近いようでいて異なるジャンルで活躍する彼らを繋ぐ<絆>にまで迫った。

「自分の信念さえ曲げなければ、見てくれている人がどこかに絶対いるんで」(植野隆充)

ー未来のクリエイターたちに向けて、何か具体的なアドバイスってありますか。

国井

「今日やるべきことは先送りせず、今日やる」ということを日々繰り返すくらいですね。あとは「言ったからにはやるし、やれないことは言わない」。

ー実にシンプルで分かりやすいアドバイスですね。植野さんからもお願いします。

植野

俺はクリエイターを目指すなら、とりあえずやりたいことを形にしていくべきだと思っています。あと色々な場所へ旅をすること。例えばファッションなら、日本でナシと思われているのが、別の場所ではアリとされていたりもする。実際に自分の目で見て、肌で触れてみることで、色んな正解があると分かるようになるんで。

ー自分の足で動いて、肌で感じ取った経験って、知識以上の実りを与えてくれますもんね。

国井

ですね。僕はよく若い子に「どうやったら2年先、3年先のトレンドが分かるんですか?」と訊かれますが、実際何がトレンドになるかなんて全く分からないし興味もない。ただ、自分がイイと思う=自分にとっての正解じゃないですか?なので、若いクリエイターの皆さんも「自分がイイと思うもので、どれだけ共感を得られるか」だけを考えてアクションを起こせば、結果はどうであろうとそれが正解なんだと思います。

ー簡単そうですが、実践するのは案外難しそうですね。

国井

たしかに難しいかもしれませんが、自分がイイと思わないもので共感を得ようとすると、成功する為に他人の反応を伺うようになっちゃうんです。クリエイターを目指すなら、迎合するのではなく常に自らに課さなくちゃいけない。別に失敗したところで死ぬわけじゃないし、まずはやりたいことを言葉にして周囲に伝えることから始めてみては? 意外と言葉にすると、形になったりしますからね。

植野

そう。言っちゃったからには、やらなきゃいけなくなるから(笑)。あとは自分の信念さえ曲げなければ、見てくれている人がどこかに絶対いるんで。

Puma × CLUCT × mita sneakers コラボアイテム

愛用品

LEICA COVER “WHIZ LIMITED × PORTER” LEICA用のカメラケース

国井

ライカのカメラだと思いますよね? 違うんですよ、むしろこのWHIZ LIMITED × PORTERのカメラケースLEICA COVERを使いたいが為にライカのカメラを購入したっていう……。採算を度外視してこういうアイテムを作ってしまうというデザイナー下野くんの姿勢が好きですね。

CLUCTのウォレットチェーン&ウォレット

植野

愛用品というかむしろ日用品ですねコレは。両方ともクラシカルでオーセンティックなデザインで、ウチのブランドの根幹を体現しているアイテムじゃないですかね。

 

INTERVIEW&TEXT:TOMMY
PHOTO : 川村 優人

<国井栄之>

東京/上野から、世界に向けて日本のスニーカーカルチャーを発信している老舗スニーカーショップmita sneakersでクリエイティブディレクターを務める。様々なブランドとのコラボレーションモデルや別注モデルのデザインを手掛け、さらに世界プロジェクトから国内インラインのディレクションまで様々なスニーカープロジェクトを具現化。日本を代表するスニーカー有識者としても知られており、現在はスニーカーのみならずファッションシーンにおいても、その存在感を示している。
mita sneakers公式サイト
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<植野隆充>

文化服装学院で服飾を学んだのち、衣類のインポート販売会社に勤務。その後、徐々に「自分でも服を作りたい」という想いが強くなり、日本・アメリカ・香港という多国籍なデザイナーが手掛けるアパレルブランドFIBEROPSに立ち上げから参加。2007年に再び独立し、切り札を意味するCLUTCHとFACT(事実)を組み合わせた造語をブランドネームに掲げたアパレルブランドCLUCTを設立。10周年を迎えた現在も“ベーシック+α”をコンセプトに、既存するクラシックなアメカジに、素材やディテールでアレンジを加えた良質なオーセンティックウエアを作り出している。
CLUCT公式サイト
instagram

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