2017.11.08

口約束から生まれた10年目のコラボ

国井栄之(mita sneakers クリエイティブディレクター) × 植野隆充(CLUCT 代表)

今や日本を代表するスニーカーショップとして、国内外から圧倒的な支持を集めるmita sneakers。そのディレクションを担う国井栄之と、「ベーシック+α」をコンセプトにクラシカルなアメカジにアレンジを加えたオーセンティックウエアを作り出すブランドCLUCTの代表である植野隆充。公私に渡って親交の厚いこのふたりが、植野率いるCLUCTの10周年記念コラボレーション・プロジェクトのラストを飾るべく挑んだのが、「日本らしさ」と「アメリカンテイスト」というブランドのアイデンティティーを体現したスニーカー制作。そこに至る経緯から完成までの道のりを追いつつ、近いようでいて異なるジャンルで活躍する彼らを繋ぐ<絆>にまで迫った。

「1番のポイントは、この素材と染めによって生まれる経年変化ですからね」(植野隆充)

Puma × CLUCT × mita sneakersコラボレーションビジュアル

ーコラボ作ならではのポイントを教えてください。

植野

以前、PUMA SUEDEのMIDカットでインディゴブルーをまとったスゲェカッコいいコラボレートモデルを、mita sneakersが作っていたんですよね。そのイメージが頭の中にあって。「でも、ウチのスタイルならLOWカットの方がマッチするんじゃないか」ということで、このモデルをセレクトしました。

ー確固たる完成形のイメージがあったとはいえ、鉄板のブラックではなくインディゴを選んだのは何か理由が?

国井

着想の出発点となったのはタカくん(植野)の作るプロダクツでした。今回アッパーに採用したインディゴ=デニムってアメカジの象徴でもあり、藍染めという部分では日本らしさも持ち合わせている素材じゃないですか? タカくんが作るCLUCTのプロダクツがまさにそれで。ブランドの10年間を体現するデザインを考える際に「見た目に奇をてらうのではなく『日本らしさ』と『アメリカンテイスト』というブランドのアイデンティティーが見え隠れするモノがいいよね」となってこの形に仕上がりました。

ーたしかに深みのあるインディゴブルーのスウェードアッパーに目がいきますね。

Puma × CLUCT × mita sneakers のコラボスニーカー

植野

このスニーカーの1番のポイントは、素材と染めによって生まれる経年変化(使いこんでいくうちに製品が変化していくこと)ですからね。たまに履くだけでは本当の良さを味わうことができず、デニムパンツと一緒で、履けば履くほど自分に馴染んでくれます。

ーまた、シュータンにはL.A出身のグラフティアーティスト、チャズ・ボホルケスの手によるグラフィックが鎮座。さらにサイドのネームもポイントですよね。

植野

今回、10周年コラボの第1弾としてチャズに描いてもらったグラフィックをシュータンに落とし込みました。ただ、それだけでは10周年なのに自分らしさがないんじゃないかと感じて、サイドに型押しプリントしたCLUCTとmitaのネームは僕が描かせてもらっています(笑)。

国井

しかもレギュレーションが変わって、今回のコラボを最後にサイドのネーム変更が出来なくなったので、そういう意味でもメモリアルなモノになりましたね。

ー外観はもちろんですが、表からは見えないインソールにもこだわっていますよね。

植野

インソールにはmita sneakersのアイコンであるCHAIN LINK(金網)と各々のロゴマークが入り、さらにパッと見では分からないトゥ部分に、これもチャズが描いた“コンサ・ホス”(アメリカ西海岸のチカーノたちが信頼関係を表す際に使用するマーク)と国井さんを象徴する「東京改」のグラフィックがプリントされています。10周年のスタートを飾ったチャズのグラフィックとそれぞれのアイコンを落とし込むことで、10周年のCLUCTとmita sneakers、そして僕と国井さんのフレンドシップを表現しました。

ー服作りのプロとスニーカーのプロ。お互い相手が出したアイデアに対して意見を言い合ったりもしたんですか?

植野

10周年記念のコラボアイテムなんで、少なからず悩みはしましたが、デザインに関してはすごくスムーズに進んで、国井さんが100%リクエスト通りにしてくれました。ただイメージしていたインディゴブルーを出すのにはかなり手こずりましたが……。

国井

合成染料のインディゴを使えば狙った色合いも簡単に出せたんですけど、経年変化が楽しめるようにするには天然インディゴで染める必要があったので、難しかったですね。シューズとしてのサンプルを作ったのは3回ですが、インディゴで何度染めにすれば理想のカラーリングになるのか、工場とやり取りして貰い何度もトライしました。

植野

実は思ったように色が出なくて妥協しそうにもなったんですよね(笑)。もうブラックでイイんじゃないかって。でも、そこで諦めずに粘った結果、理想のカラーリングが出て。「諦めちゃいけない、最後はなんとかなるぞ!」って改めて思いましたね。

国井

タカくんがモノ作りの際に妥協をしないので、素材の色合い、インソールなど一見すると伝わりづらい部分に注力しつつ、時間が許す限りベストを尽くしたつもりです。

Puma / CLYDE FOR CLUCT MITA “CLUCT × mita sneakers”

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