2020.01.31

誕生〜バースデイ〜

湯木慧

Artwork Direction : 湯木慧

湯木はシンガーソングライターでありアーティストでもある。これまでもインディーズ時代からジャケットのアートワークを自ら手掛け、2017年、2018年と、それぞれの音楽作品と連動した個展ライブイベントも行い、昨秋にはアートをメインとした個展も開催してきた。また、アート作品からインスパイアされ、それをテーマに曲を作るほど、密接いや同居や共存した存在とも言える。

彼女の絵の特徴は淡さとはかなさを有した水彩感のある色使い。個人的には青の貴重さが印象深い。そこで描かれる絵たちは幻想的なものから現実的なもの、神秘的であったり生命力を感じさせたりと様々だ。

そして、このメジャー1stシングル「誕生〜バースデイ〜」のジャケットもグレーを背景にいびつでフリーハンドチックな幾重もの円と、その中に、どこからか繋がっている(へその緒?)、こんがらがったかのような線、それが湯木独特の淡さを有した水彩タッチの多才な色彩を放っている。そして中の歌詞カードはあえての手描きだ。
とは言え、この盤、初回盤はユニークな仕様になっている。グレー一色のオーバーカバーがついており、そこには何も描かれておらず、そこに切り取り点線が付けられ空けて開くと中に今作のジャケットが現れる仕組みだ。そして、そのオーバーケースの内面にも絵が描かれており、アナザーサイドへと誘われるストーリーが伺える。
で、この点線、なんでこんな形なのだろう?というのが、その点線を開いた内側に書かれた彼女の走り書き的な手描きメッセージから、ようやく察することが出来る実に優れたもの。かつては「決めるのは”今の僕”、生きるのは”明後日の僕ら」という彼女の作品のジャケットで、自身が卵巣の中で眠る絵があったのだが、個人的にはその続きのように捉えている。となると、あの点線の形は…。あとは是非現物を手に取って確認して欲しい。私の口からはけっして言えない…。

「Happy Birthday to You」の現在の湯木のハミングと、実際の彼女の誕生のシーンの産声と生誕時の身長体重が告げられる「98/06/05 11:40」(彼女の生誕日時?)から始まるこのメジャー1stEPは、そこからグワッと現在の彼女の視点やこれからの人生へと想いの馳せが綴られていくトーターリーコンセプトEP。

独特の淡さを擁したウィスパー気味の歌声とアルペジオとDAWを基調とした三拍子の音楽性。どこかドリーミーで安堵感のあるサウンドと、生きていくうちにどんな新鮮なものでも、いつもはそれにも慣れて当たり前になってしまうことへの成長と哀しさ、逞しさと生まれ生きていることへの感謝を感じる「産声」。また、同曲は、いつかは日の光を眩しく感じなくなる世界を夢見、目指し、進んでいく秘めた決意をも感じる生命讃歌とも捉えられる。

そしてこちらは、そこからまた成長し、育まれ、哀しさや汚さ、矛盾や理不尽ても出会い、そんな中でも逞しく生きていく覚悟と決意がピアノとギターを基調としたサウンドに載せて告げられる「バースディ」。

また、M-4の「極彩」はそのタイトルとは裏腹にちょっとしたダークさを感じさせるナンバー。こちらはもっともっと成長し、この理不尽で汚れた世の中を生き抜き、謳歌や昇華を経て、更には灰になってこの世から去る。その際へと気持ちを馳せさせる。
4曲それぞれにゆりかごから墓場までのストーリーを感じさせる1枚だ。

湯木慧「バースディ」 MV

監督・編集:松本倫大(Root-works)

 

TEXT : LUCKAND編集部

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湯木慧

メジャーファーストシングル「誕生〜バースデイ〜」

初回限定盤 (CD+ライブDVD+スペシャルパッケージ仕様)
VIZL-1592
¥1,800(+tax)

購入はこちら

通常盤
VICL-37474
¥1,200(+tax)

2019年6月5日発売

購入はこちら

-CD(初回限定盤・通常盤共通)-
1. 98/06/05 11:40
2. 産声
3. バースデイ
4. 極彩

-DVD(初回限定盤のみ)-
ワンマン個展ライブ『残骸の呼吸』
2018.10.20.21 at 四谷アートコンプレックスホール
1. キズグチ
2. キオク
3. 網状脈
4. 嘘のあと
5. 存在証明

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