Cover Illustration : 染谷真衣
Photographer : 桑島智輝
Artist logo Design：LUCKON GRAPHICS

『かりぐらし恋愛』の背景制作も担当するイラストレーター染谷真衣によるジャケットイラスト。見開くと魚眼レンズで捉えたような風景が広がる。新海誠作品に代表されるように最近のアニメーションやイラストレーションは背景描写が実に繊細で瑞々しい。この染谷作品も描写技術の高さは勿論のこと、光の取り入れ方やアニメのオープニングを感じさせるような躍動感ある構図の取り方など現代ならではの手法を取り入れている。

一方、アーティスト写真は、松井玲奈の写真集 『ヘメレット』や剛力彩芽スタイルブック『剛力STYLE』、『BARFOUT！272号』にて櫻井翔（表紙）、ヤングジャンプや週刊文春などの雑誌や写真集などを数多く手掛ける写真家、桑島智輝が担当。ナチュラルな光で飾ることないメンバーの姿はトレイ下に配置。染谷のイラスト世界とのバランスも崩すことなくコントラストを付けている。

ちなみに今回から起用されている一連のアーテイストロゴはLUCKON GRAPHICSが作成したもの。バンド名にある“スピカ”が、おとめ座に青白く輝く一等星の意味から、どことなく星座をイメージさせるものにしつつ、「彼らがみんなの一等星になってもらいたい」との想いも込めて作られたという。男女混合バンドが故、逆に甘いテイストになり過ぎないようになものを意識し作成されたところもポイントだ。

今年頭まで「スノーマン」として活動していた3ピースピュアポップ・ロックバンドが今年1月に「スピラ・スピカ」に改名。今作『雪と星と僕ら』はスピラ・スピカとしてキャリア初の全国流通盤。 5月20日に「雪と星と僕ら」リリースツアーのファイナルを迎えたばかりなので、収録曲の余韻を楽しんでいる人も少なくないだろう。

そんな今作は、スノーマン時代のベスト曲とスピラ・スピカとしての意志と決意を感じる新曲「僕らなら」等を収録。ストレートな歌詞は若者から強い共感を生み、力強いグルーヴのサウンドは彼らの背中を押す。幹葉の歌声は弾けたり高音で伸び上がったり様々な表情を見せる。
8月8日にはソニー・ミュージックレーベルズの”SACRA MUSIC”よりメジャーデビューが決定しているので、今作は今後のスピラ・スピカを知る上で重要な一枚となるだろう。

スピラ・スピカ「僕らなら」

監督 : 奥藤祥弘

アーティスト写真と連動させた野外でキャンピングカーと可愛いテーブルクロスのテーブルセット。幹葉の愛らしい笑顔とシャボン玉に風船。ある意味ベタすぎるとも思える設定だが、爽快な楽曲の世界感と見事にマッチ。監督は、氷室京介や川嶋あい、THE ORAL CIGARETTESなどのMV、DREAMS COME TRUEや和楽器バンドのライヴ映像など手掛ける奥藤祥弘が担当。奥藤のTwiiterには幹葉が現場で拾った木の棒片手に野原を駆け回っていたエピソードも綴られている。そんな楽しささえ溢れ出して来そうなMVに仕上がっている。

TEXT ： 秋山雅美