2017.12.08

モーンガータ

アンテナ

Art Director & Designer : 庄司嘉宣(UNIZON)
Computer Graphics : 西野嘉洋(GOOD TO GO)
Photographer : 佐藤瑞希(GOOD TO GO) / 斎藤霊一(エンヤ)
Model : 花之枝しほり

アンテナのメジャーデビュー盤である今作のタイトル『モーンガータ』とは(あえて)日本語に訳すと「水面に映る、道のような月明かり」。このテーマを見事に具現化したのは、彼らと同様、仙台で活躍を広げる庄司嘉宣。アンテナの優しく寄り添いながら広がる幻想的な音世界に、文字通りデザインでも寄り添ってくれている。

縦書きでレイアウトされ、さながら短編小説のようなブックレットはどちら側から読んでも違和感がない。儚くも存在感のある花之枝しほりが象徴的な表1に対し、表4には水面の光を浴びる4匹の金魚。読み進めると、表2と表3の関係性、間のページに写るモチーフと歌詞のリンク性、そして花之枝と4匹が出会う曲の場所……すべてが庄司の意図が散りばめられているように思えて面白い。盤面やバックインレイの細部に至るまで、楽曲とアートワークが一致し、聴き手の想像力を膨らませてくれる1枚だ。彼らの愛を感ずる曲名で、裏世界の入り口のようなM1「イダンセ街」から、ぜひこの表現に没入してみてほしい。

仙台発<ニューレトロ・バンド>の<レトロ>は決して前時代的な意味とは違う。どこか淡いノスタルジックさを擁した音楽性といった類のもの。その甘く柔らかい歌声は、まるでソフトフォーカスのかかった想い出のように、聴く者に、どこかで観たことのある物語や景色を曲毎に思い浮かべさせてくれる。特に筆者の耳を惹いたのは、彼らのエバーグリーンなメロディと歌、そして瑞々しささえ感じる演奏ながらも、適度なエレクトロを織り交え、キチンと現在の音楽シーンとコミットしているところ。それは踊らせたり、勢いや一体感といった現在の感動共有ロックとは一線を画している。逆にそれらに頼らないミッドテンポの楽曲中心なのが心強い。例えると30歳、40歳になっても聴き返したくなる作品。そんな1枚になるであろうことを、今作はしっかりと約束してくれている。

アンテナ「モーンガータ」Music Video


監督 : 加藤マニ
撮影 : 佐藤瑞希(GOOD TO GO)

監督はメジャーやインディー問わず、これまで数多くのMVを手掛けてきた、鬼才・加藤マニ。彼の映像マジックが、楽曲の持っている適度な躍動感やメランコリックさ、そして程よい上昇感と、様々な場所でのバンドの演奏シーンを中心とした映像とのベストマッチを味あわせてくれる。時々だがインサートされる水の中でのバンドの演奏シーンが、タイトルを彷彿とさせる。後半に出てくる『スカイランタン』(ディズニー映画「塔の上のラプンツェル」でも出てきたランタンを空に飛ばす行事)を空に放つシーンのノスタルジックさは、常に自身の歌に真摯な想いを乗せて放つ彼らの音楽性を可視化させているかのようにも映る。

TEXT:LUCKAND

アンテナ

http://antena-official.com

1st Mini Album

『モーンガータ』

TECB-1006
¥1,667(+tax)
購入はこちら

2017年10月18日(水) Release

01.イダンセ街
02.アルコール3%
03.呼吸を止めないで
04.無口なブランコ
05.深海おまじない
06.モーンガータ
07.ぼやけた朝陽

LIVE

メジャーデビューAL「モーンガータ」release tour『Late at Night 2017』
※終了分は割愛
12月09日(土) 広島CAVE-BE
出演 : PELICAN FUNCLUB / goodbye holiday / atelier room / アンテナ

12月10日(日) 大阪Pangea
出演 : PELICAN FUNCLUB / goodbye holiday / アンテナ

12月15日(金) 渋谷TSUTAYA O-NEST ※ワンマン

café the EACH TIME 3rd anniversary Special LIVE 二色の栞 名取編
※渡辺諒ソロ出演
12月17日(日) café the EACH TIME
出演 : 中村マサトシ / 渡辺諒

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