(左)初回限定盤(右)通常盤

Art Direction & Design ： いのうえよしひろ(Giottographica)

UNISON SQUARE GARDEN（以下：USG）作品とは切っても切り離せない、いのうえよしひろが今回もデザインとアートディレクションを担当。これまでワンモチーフのインパクトを巧みに打ち出し続け、2015年にはフクロウをモチーフにした『Catcher In The Spy』(5tフルアルバム)のジャケットが「ミュージック・ジャケット大賞2015」大賞候補にもノミネートされている。そんな彼が今回打ち出したのは、青地に取扱説明書が如くシンプルに描かれたモンキーレンチ。注目すべきは上部に表示された矢印が実際の回転方向と逆を示しているということ。USGを知り尽くしているいのうえだからこそ、動画サイトで流し聴きするだけでは計り知れない奥深さやユニークさが潜んでいることを、このモンキーレンチで表現しているのではないだろうか。そんな洒落っ気を感じずにはいられないジャケットだ。

TVアニメ『ボールルームへようこそ』のオープニングテーマとして書き下ろされた表題曲「10% roll, 10% romance」はUSG史上最速のBPMを打ち出し、c/wの 「RUNNERS HIGH REPRISE」は田淵智也（Ba＆Cho）がThe pillowsへのリスペクトをタイトルやリフに込めている。初回限定盤付属ライブCDには、6月7日Zepp Tokyoで開催された『UNISON SQUARE GARDEN presents “fun time HOLIDAY 6”』最終公演の本編が丸ごと収録されており、彼らの実力や一筋縄でいかない多様性を感じ取れるシングルになっている。

更に11月8日、11月15日には2週連続でシングルをリリース。緑色のベタ塗りジャケットがかえって印象的な11月8日リリース『Invisible Sensation』のタイトルナンバーはTVアニメ『ボールルームへようこそ』2クール目のオープニングテーマとして書き下ろされ、エッシャーの「上昇と下降」にインスパイアされた構図と、黄色と赤のビビッドトーンが興味深い11月15日リリース『faketown baby』のタイトルナンバーはTVアニメ『血界戦線 & BEYOND』オープニングテーマとして書き下ろされている。音楽からジャケットを考察するか、ジャケットから音楽を紐解くか、どちらにせよこの二作も注目したい。

TEXT：秋山 昌未