2017.06.16

目指しているものは、シンプルかつ上質なもの

Cozy(Laika Came Back)

ギターと必要最小限の機材のみで作り出すバンドサウンドとナチュラルで温かみ溢れる陽だまりのような歌が特徴的なCozy(元AIR)のソロプロジェクト、Laika Came Back(以下 : LCB)。極めて身近に感じながらも、聴き手をここではないどこかへと誘ってくれるその音楽性も印象的だ。
作品も歌もグッズ類や生き方までも、彼から届けられるプロダクツは一貫してシンプルで上質。彼の中での最大級の追及やこだわり、ユーザーへの愛情が込められているものばかりだ。
活動発表から7年。制作してきた数々のグッズを前に、彼のモノづくりの考え方や目標を、音楽性も交えて紐解いた。

「シンプルだからこそ、その必要最小限な形で一番最善なものとして表現する」


━音楽面においても、Cozyさんは日常に根づいている印象があります。

Cozy

普通のこと、当然のこと、日常行為の一環です。でもそれは裏を返すと、オンオフが無いとも言えます。いつもオンだし、逆に言うといつもオフだとも言える。音も言葉もアイデアも日々の生活の中から生まれてくる訳ですし、全部一本の線で繋がっています。

━実際、Cozyさんのような活動スタンスを実践できている方を私は他に知りません。

Cozy

自分が心の中で養っていることに対して、「無理のない範囲で」最善を尽くして向き合っているだけです。「今出来る事だけを」最善の形で行う。LCBの活動の基本です。それをずっと大切にしてきました。無理な背伸びをしながら作っても、活動をしても、結果、良いものにはなりません。どこか張りぼて感が出る。だから、制作時においては自分が出来る最大限の範囲での技術や知識、力を駆使しつつ、そこから更に自分伸ばす努力は、日々絶対にしていかなくてはならないものだと思っています。

━その見極めは大変そうですね。

Cozy

ある種の客観性は物凄く必要だと思います。色々と不必要な欲は出てきてしまうので、そことのせめぎ合いでもありますが(笑)。

━シンプルながらも絶妙なバランスを感じます。

Cozy

音に関して言うと、隙間・空間をどうプロデュースするかを考えています。シンプルだからこそ、その必要最小限な形で、最善なものを表現する。そうなると、その隙間・空間をどう心地良くクールに演出出来るか?というところに行き着きます。いわゆる建築や部屋の模様替えに近いところもあるかもしれません。

━模様替えですか?

Cozy

どこに何を置いて、その空間を演出していくか。そういった部分では、僕の音楽は、いわゆるデザインすること、ということに、感覚的には近い部分もあるのではと思います。

━全編、凄く日常的なんですが、どの曲もここではないどこかへと連れ出してくれる音楽性がとても魅力的です。

Cozy

僕にとっての音楽とは、まさにそういった類の存在でした。読書もそうですが、音楽はまったく違う場所に連れて行ってくれたり、違った自分にもなれます。読んだり、聴いたりしているうちに、想像力を掻き立ててくれるものであってほしいと思います。

━最近はライヴもあえてお客さんと至近な会場やカフェで演っているように映ります。

Cozy

こういった音楽性なので、ギャラリーやカフェで演る機会が多いです。僕の音楽においてはこういった会場が最も届けやすかったり、伝わりやすい。フラットな立ち位置で、構えず、すっと音楽が身体や環境に溶け込み、馴染んでくれる。そんな伝え方をしたいと思っていますし、自分の音楽性にも合っていると思います。もちろんライヴハウスでもプレイしますし、それぞれの良さがあります。

━楽器類も最小限ですもんね。

Cozy

アコースティックギター1本のみです。自分にとってアコースティックギターは万能な楽器です。ライブではパーカッションなどのリズム系やベース音などをギターで作り、録音してループさせ、自分ひとりのグルーヴを作り出し、ギターを乗せて歌っています。一方で、バンドの全パートを他者になりきって、それぞれのノリをイメージして自分でプレイして組み立てていったりと、その場の雰囲気でキャラクターをアレンジすることもあります。やはりライヴは生ものですから、そのトラックもその曲限りで、次の曲に移れば、今リアルタイムに録音した演奏データは全て消えてしまうわけです。そういった意味でも、その場に居合わせた人としか共有出来ない、かけがえのない時間です。その場でしか生まれえないものを大切にしながら毎回プレイしています。

<NEXT 3/3>「実用に長けているもの 使って輝くものを作りたい」

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