「川上から川下はもちろん、その源流や、先に続いている大海原までも網羅した供給をしたい」

-今後のNo,No,Yes!のビジョンを教えて下さい。

橋本

最終的には欧米のものまねじゃなく、日本から発信したレザー製品で傑作、ロングセラーを造りたいです。けっこう海外の方から訊ねられるんです。『日本を代表するレザー製品は何ですか?』って。だけど浮かんでこないんですよね。だったらそこを手掛けようと。そのアイテムは分かりませんが、これからも可能性を色々と追及していって、いずれは傑作として認められて、かつロングセラーとしてリリースすることを目指してます。今も昔もそうなんですけど、川上(素材や加工現場)、川中(企画やデザイン)、川下(店舗や販売店)の全てをやりたくて。もっと言うと、その川上の上には更に源泉がありますよね。そこにもこだわりたくて革素材産地である姫路にも実験できるアトリエやサロンを作りました。そして川下の先には大海原があり、それが海外です。今はそれが小さいながらも継続的に年2回パリでの展示会を通して徐々に世界中に取り扱い店も増えてるので、その流れをしっかりと強化していきたいですね。

-では、最後に未来のクリエイターに向けてメッセージをお願いします。

橋本

やっぱり、やるかやらないかじゃないですか。どんな環境や境遇だろうが、やるヤツはやるし、やらないヤツはやらない。やらなくてはならない環境や感情から人はやるわけで。やらなくていいことは無理してやる必要はないと思うんです。なので、その目の前にやってきた、やらなくてはならない仕事を一生懸命やって欲しいですね。夢中になったり無心でやってる先に道は開けると信じる者にしか未来はないのではないでしょうか。

【橋本太一郎・愛用品】

<肉切りハサミ(左)>
これは精肉店で使っているもので、レザーを裁断する時に使ってます。

<裁ちバサミ(中央右)>
20年ぐらい使ってますね。特に用途も気にせず何でもこれでカットしています。

<メリケンサックハサミ(右)>
イキってるでしょ(笑)。裁ちばさみをメリケンサックみたいにしたら面白いかもと、真鍮を加工をしてくれる友人にメリケンサックとハサミを渡してオリジナルで作ってもらいました。

<メジャー>
表裏でセンチとインチが別れていて、重宝しています。

INTERVIEW & TEXT：LUCKAND
PHOTO：川村 優人
PLACE：No,No,Yes! Leather Tailor Tokyo