2016.11.15

ANREALAGE 『神は細部に宿る』

デザイナー森永邦彦(ANREALEGE)

近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエが遺した「神は細部に宿る」との言葉を信念に、繊細な趣向をこらした服づくりをするブランド『ANREALAGE(アンリアレイジ)』。デザイナー森永邦彦氏が2003年に創立して以来、紫外線によって色が変わる素材をはじめ、レーザーカットや3Dプリンターなど、最新のテクロノジーをたくみに使ったアイテムで毎季私たちを驚かせてくれる。

img_001

2015SS(Spring/Summer)シーズンのパリコレデビュー以降、日本だけでなく世界にも活躍の場を広げて注目を集め続けている同ブランド。その新店舗『ANREALAGE AOYAMA』が8月、南青山にオープンした。その記念としてオープン当初には『asics』『keisuke kanda』とのコラボレーションアイテムを発表。スーツ仕立てにリメイクした『asics』のジャージを中心に、細やかなパッチワークやハンドステッチなど、それぞれのブランドの代名詞ともいえる手法が詰まった服たちが並んだ。また一つプレゼンテーションの場を増やした森永氏。彼はどんな信念でモノづくりをしているのだろう…。

img_002
img_003

新店舗や新シーズンの発表から感受した、ANREALAGEの<細部に宿る、ものづくりの信念>

新シーズンのAW(Autumn/Winter)は「NOIZE」がコンセプト。テレビの砂嵐のような柄が、特殊な環境で千鳥柄に変わる服を発表し話題になった。しかし、新店舗にそのコレクションの姿は一切見当たらない。「この青山店は私たちの服だけでなく、ここでしかできない体験、情報を提供する場だと思っています。改めて『ANREALAGE』がどんなブランドなのかを提案する場にしたいんです」と森永氏。彼の言葉の通り、店舗に並ぶのは10年前に作られたアーカイブのアイテムを黒に染め直したものや、ブランドのアイコンともいうべき細やかなパッチワークを施した服。そこに紫外線を浴びると色が変わる服や、ボタンをすべて締めると球体になるシャツなども加わり、まさに2003年から始動した『ANREALAGE』のこれまでの歩みを感じられるラインナップ。

img_004
img_005
img_006

また、森永氏がディレクションするモノトーンのモダンな店舗デザインにも常識を超えた仕掛けが散りばめられている。日本庭園のように玉砂利が敷き詰められた床や、透明・不透明が瞬時に切り替わるウムガラス(瞬間調光ガラス)が貼られた壁のショーケース、ガラス戸を開けると四季折々を感じさせてくれる音が流れる“中庭”など、日本の精神とテクノロジーが融合した非日常の空間で、場と服、そのすべてが一つの作品のようだ。そして、その音響に携わっているのがミュージシャンの山口一郎氏(サカナクション)。フィールドは違えど、そのようなモノづくりのプロとともに場を作り込む姿勢にも、このブランドの信念を感じられた。

ANREALAGEからのINVITATION[招待状]

img_h

そこでLUCKAND編集部が注目したのは、関係者に配られる招待状だ。今回の新店舗オープンの際には、実際に一号店の店舗前に設置されている電柱プレートのミニチュアを作って同封。これは新店舗の電柱前にも設置されるであろうものだ。看板2016SSのコレクション展示会に至っては、「REFLECT」のテーマ通りリフレクターを使い、招待者がその招待状のハガキを携帯でフラッシュ撮影すると、新たに文字が浮かび上がるという仕掛けが隠されていた。コレクションの立ち上げ時には様々なブランドから膨大な数の招待状が届く関係者。彼らにとって、その場に足を運ぶ以前から明確に、そして感覚的にコンセプトを理解できる『ANREALAGE』の招待状はかなり印象深い。さらには年賀状までも、アーカイブのコレクションを思わせるユニークなサイズの仕様になっているから驚きだ。そういった主役の服以外の<もの>にも端的に落とし込める、シンプルで力強い森永氏のコンセプトがあるからこそ作れる招待状とも言える。

img_b
img_c
img_j

img_d
img_e
img_i

img_f
img_g

モノづくりにおいて“コンセプトは設計図”とはよく聞くが、それを貫くにはかなりの熱量が必要だ。森永氏の新しい店を訪れて、「神は細部に宿る」の言葉をずっと守り続ける、彼の強い信念を肌で感じた。

プロフィール

デザイナー森永邦彦(もりなが・くにひこ)。1980年、東京都生まれ。早稲田大学社会科学部在学中にバンタンデザイン研究所に通い、服づくりをはじめる。 2003年、「アンリアレイジ」として活動を開始。ANREALAGEとは、A REAL-日常、UN REAL-非日常、AGE-時代、を意味する。2005年、ニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞。2005年秋、06S/S KEISUKE KANDAと共に東京タワーにてコレクションを発表。以降、東京コレクションに参加。2011年、第29回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。2014年、15S/Sよりパリコレクションデビュー。

ANREALAGE

http://www.anrealage.com

RECOMMEND